全国自治体の「空き家予測マップ」を開発 東京都市大

東京都市大学の研究グループは3日、全国自治体の将来の空き家率を予測するマップを開発したことを発表した。全国全ての自治体をカバーしたマップの整備は国内初となる。開発したマップはウェブサイトで公開されている。この成果は日本地理学会の学術大会で発表された。

近年、日本国内では空き家の増加が問題になっている。政府は「空家等対策の推進に関する特別措置法」を制定し、全国の自治体に対して空き家の分布状況の把握を努力義務と定め、取り組みを進めている。しかし、空き家を調査するための迅速・安価・継続的な手法は確立されておらず、さらに人口規模が小さい自治体においては、住宅・土地統計調査の分野において政府統計の調査対象外となっていることから、現在の空き家数も未知の状況となっている。また、空き家の将来分布予測は各自治体で高い需要があるものの、これまでその手法がほとんど確立されていなかった。

今回、研究グループは全国同一の基準で集計されている政府統計のデータを活用し、市区町村ごとの人口動態や空き家率などをAI(機械学習)を使って解析することで、全国の自治体の現在と将来(2028年)の空き家率を予測する技術を開発した。この技術は高い予測精度を有すると共に、政府統計で調査対象外の自治体も予測・推定が可能となっている。今回開発した技術は既存の統計データのみで整備・更新ができるため、継続しやすく、横展開しやすいという強みがある。日本国内のみならず、今後少子高齢化が進む先進各国やアジア諸国においても、空き家が問題となった際に適用できる可能性が期待される。

研究グループは今後、政府統計のミクロデータを使って、大学や町丁目など、より細かい単位での予測技術への拡張を予定している。また、研究目的のための非商用利用および法人等に向けた商用利用についても提供方法の検討を進めるとしている。

画像提供:東京都市大学