CO2をほぼ100%メタンに変換できる次世代触媒を作成、阪大

大阪大学はCO2をメタン(CH4)にほぼ100%変換できる金属製自己触媒反応器を作成したと発表した。新しい触媒の作成技術によって、カーボンニュートラル実現に貢献できる。この研究成果は国際学術誌にオンライン掲載された。

CO2をメタン化することは、高密度でエネルギーを貯蔵する方法としてだけではなく、CO2を有用な化学工業原料に変換することで、2050年までにCO2の排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を実現する方法としても有望視されている。CO2は安定性が高いためメタン化するには大量のエネルギーの投入が必要となるため、活性化エネルギーを下げて変換を促進できる信頼性の高い触媒開発が近年活発に研究されている。

大阪大学の研究グループは、高温強度、熱伝導性に優れた金属材料に着目し、触媒機能と反応管としての機能を併せ持った金属製の自己触媒反応器(SCR: Self Catalytic Reactor)を作成した。表面の加工にはレーザー金属積層造形(Additive Manufacturing: AM)技術と電気化学的表面処理を組み合わせて、触媒機能を示す活性金属を露出させるようにした。作成したSCRはCO2のメタン化反応において従来の触媒に比べて高い活性・選択性を示し、CO2をメタンにほぼ100%変換した。また、400℃という高温で長時間利用しても高い耐久性を示した。

今回開発した金属製自己触媒反応器は、多様な触媒プロセスに最適な構造を提案できる、過酷な環境下においても安定性が高く触媒の交換が容易であるなど、実用化触媒に不可欠な基盤要素を兼ね備えている。レーザー金属AM技術によって、カーボンニュートラルを指向した触媒分野だけではなく、先進的なマテリアルサイエンス分野へも多大な波及効果をもたらすことが期待されるとしている。

 

レーザービーム粉末床融合結合法 (LB-PBF)の概略図と作製した自己触媒反応管

画像提供:大阪大学(冒頭の写真はイメージ)