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世界遺産を訪れる ジェロニモス修道院とベレンの塔(ポルトガル)

今から約500年前の大航海時代。ポルトガルやスペインに代表される西ヨーロッパ諸国が海に出て、次々と新航路や新大陸を開拓していった。その時代に栄華を極めた国の一つがポルトガルだ。この記事では、ポルトガルの世界遺産「ジェロニモス修道院とベレンの塔」を紹介する。

大西洋への玄関口、ベレン地区に建つ2つの世界遺産

大航海時代、ポルトガルは、ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見によってインドやアフリカ、東南アジアなどから金や香辛料などが続々と集まるようになり、莫大な利益を得るようになった。

ポルトガルの首都・リスボンの南西部にあるベレン地区は、大西洋に繋がるテージョ川が流れており、ポルトガルが海外進出する際の出発地点として栄えた場所だ。そのベレン地区に建つジェロニモス修道院とベレンの塔が、1983年にポルトガル初の世界遺産として登録された。

ベレン地区テージョ川岸に建つ「発見のモニュメント」。エンリケ航海王子を先頭に、ヴァスコ・ダ・ガマやマゼラン、フランシスコ・ザビエルなど33人の像が壁の両側に立ち並ぶ。

豪華絢爛なジェロニモス修道院

ジェロニモス修道院は、当時、天文台や航海学校の創設、航海技術の開発に力を注いだエンリケ航海王子の功績と、インド洋航路を発見したヴァスコ・ダ・ガマの偉業への経緯と、航海の安全を祈願して建設された。

工事は1502年にポルトガル王国の黄金期を築いたマヌエル1世によって着工され、1511年には回廊などの主要部分が完成した。その後、マヌエル1世の死去などによる工事中断を経て、1世紀以上の歳月をかけて現在の姿となった。

ジェロニモス修道院の特徴は、マヌエル様式と呼ばれる豪華絢爛な建築だ。マヌエル様式とは、ゴシック建築の影響を受けながら、そこにアフリカやアジアの動物や海のモチーフがあしらわれた、ポルトガル独自の建築・芸術様式のこと。16世紀初め、大航海時代のポルトガルの繁栄を象徴する豪華で壮麗なジェロニモス修道院は、マヌエル様式の最高傑作とも称されている。

マヌエル様式の最高傑作の一つと言われる、ジェロニモス修道院の南門
ジェロニモス修道院の中庭を、約55m四方の回廊が囲む
豪華な装飾が施されたアーチ
当時の食堂。壁は色鮮やかなタイル(アズレージョ)で装飾されていた
食堂の壁のタイルには聖書の1シーンが描かれている
ジェロニモス修道院附属のサンタ・マリア教会の聖母マリア聖堂に安置されたヴァスコ・ダ・ガマの棺

水際にたたずむ優美な要塞・ベレンの塔

ジェロニモス修道院から約1km先の河口に建つのがベレンの塔だ。1515年に着工し、5年後の1520年に完成した要塞で、ジェロニモス修道院と同じくマヌエル様式で建築されている。6層からなる要塞だが、塔の至るところに天球儀やロープ、海草、貝など、船や海に関連した装飾があしらわれている。

ベレンの塔までは橋を渡って行く。水辺の要塞ということで、地下には潮流によって海水が入り込む水牢が設けられていた。
塔は6層構造で、全ての角に監視塔が設置されている。