思春期のオンラインゲーム依存、心の健康に影響

思春期にオンラインゲームを不適切に利用すると、心の健康に悪影響を及ぼすことが明らかになった。国立精神・神経医療研究センターや東京大学の研究グループは、オンラインゲームにのめり込み過ぎることで、抑うつや不安、幻覚や妄想のような体験、さらには幸福度の低下につながることを確認した。研究結果は国際学術誌「Communication Psychology」に掲載された。

研究では、東京都で実施されている「東京ティーンコホート調査」に参加した3,171人を対象に、縦断的に追跡。12歳、14歳、16歳の時点で行った調査を基に分析した。その結果、14歳の時点でゲームを不適切に利用していた子どもは、16歳で心の不調を抱える確率が高くなることが示された。リスクは、抑うつで1.6倍、不安で2倍近く、幻覚や妄想で1.7倍、幸福度の低下で1.5倍に増加していた。

ここでいう「不適切な利用」とは、やめるといらいらする、プレイ時間を減らせない、嫌な気分をまぎらわせるために遊ぶ、学業や友人関係に支障をきたす、のめり込みを隠すために嘘をつく、といった状態を指す。研究チームは統計的な調整を行い、もともと心の不調があった子どもを除外するなど、原因と結果を取り違えないよう工夫した。その上で、オンラインゲームの利用が不適切に続いた場合、後のメンタルヘルス不調の原因となることを突き止めた。

さらに、注意欠如や多動の傾向を持つ子どもが、不適切なゲーム利用を経て心の不調に至る経路も確認された。研究によると、注意欠如や多動が原因で起こる心の問題のうち、最大で3割程度はゲームの不適切利用が関わっていた。

近年、オンラインに接続できるゲーム機やスマートフォンが普及し、日本では若者の4人に1人がオンラインゲームを楽しんでいるとされる。遊ぶこと自体は問題ないが、日常生活に支障をきたすほどのめり込んでしまうと、心の健康を損なう恐れがある。研究グループは「遊び方に注意し、不適切な傾向が見られる場合は専門のサポートを受けることが重要だ」と指摘している。

(写真はイメージ)