
断層内部で極めて滑りやすい物質発見 地震活動解明に期待 東北大など
東北大学は13日、岐阜県から富山県にまたがる跡津川断層系で、極めて滑りやすい性質を持つ物質「酸化グラフェン」を発見したと発表した。酸化グラフェンは摩擦を大幅に減らす物質として知られ、断層が大きな地震を起こさず、ゆっくり滑る「クリープ現象」に影響していると考えられている。地震活動の仕組み解明につながることが期待される。研究成果は国際学術誌「Nature Communications」に掲載された。
跡津川断層系では、地下7~8キロ付近まで地震活動が少なく、断層が長い時間をかけてゆっくり動くクリープという現象が確認されている。これまでは、摩擦の少ない黒鉛(グラファイト)や地下水などが断層を滑りやすくしていると考えられてきた。
東北大学、東北学院大学などの研究グループは、断層内部の岩石を最新の分析装置で詳しく調べた。その結果、断層の細かな亀裂の中に、厚さが原子1層しかない「単層ナノシート状」の酸化グラフェンを確認した。活断層から酸化グラフェンが見つかったのは世界で初めてとのこと。
酸化グラフェンは、一般的な岩石よりはるかに滑りやすく、摩擦係数は0.01以下である。従来、断層の潤滑物質と考えられてきたグラファイトでも摩擦係数は0.1程度で、その滑りやすさは際立っている。
また、酸化グラフェンは200度を超えると分解されてしまうが、跡津川断層系で地下温度が200度以下となる深さが6.3~7.5kmで、地震活動の少ない領域とほぼ一致していた。このため、酸化グラフェンが存在できる場所で断層が滑りやすくなり、大きな地震が起こりにくくなっている可能性があるという。
この研究成果は、地震の仕組みを理解するだけでなく、資源開発や地下利用に伴う誘発地震のリスク評価にも役立つ可能性がある。今後は、海溝型地震が起きるプレート境界でも同様の物質が存在するか調べるほか、断層がゆっくりと滑ることで急激な揺れを起こしにくい「スロー地震」との関係解明を目指す。

画像提供:東北大学(冒頭の写真はイメージ)

