
光合成で燃料を連続生産する藻類を開発 脱炭素へ新技術 埼玉大など
埼玉大学は12日、光合成によってバイオ燃料の原料を作り、それを細胞の外へ放出し続ける微細藻類の開発に成功したと発表した。燃料回収に必要だった大量のエネルギー消費を減らせる可能性があり、脱炭素社会に向けた次世代燃料技術として注目される。この研究成果はバイオテクノロジー分野の国際学術誌に掲載された。
微細藻類によるバイオ燃料生産は、食料生産と競合しない脱炭素エネルギーとして注目されている。しかし、従来の手法には大きな課題があった。燃料成分が細胞内部に蓄積されるため、回収には大量の藻類を集めて乾燥させ、化学的に抽出する必要があり、多くのエネルギーを消費していた。また、燃料を取り出した後には大量の細胞の残りかすが発生する問題もあった。
埼玉大学、中部大学、かずさDNA研究所などの研究グループが開発したのは、「ラン藻」と呼ばれる光合成微生物の一種。太陽光と二酸化炭素を利用して、ジェット燃料やディーゼル燃料の原料になる「遊離脂肪酸(FFA)」を効率よく作り出す。藻類自体が持つ遺伝子の働きを強めることで、作った脂肪酸を細胞の外へ排出させることに成功した。また、培養液の上に重ねた有機溶媒へ燃料成分を自動的に移す仕組みも導入し、細胞を死なせることなく燃料物質を継続的に回収できるようにした。
さらに特徴的なのは、「セルフクローニング」という手法を使った点だ。外来遺伝子を使わず、藻類自体の遺伝子だけを利用して改良しているため、一般的な遺伝子組換え生物より規制のハードルが低く、大規模培養へ応用しやすいという。研究では、強い光や低温といった環境ストレスを加えることで、生産量が大きく向上することも明らかになった。
将来的には、広い培養池で太陽光を利用しながら燃料を作り続ける「生きた燃料工場」としての活用が期待される。研究グループは、今後さらに生産効率を高め、実際の屋外環境での実証を進めたいとしている。
(写真はイメージ)

