
月面での持続的活動へ 広がる宇宙開発と人材確保の課題
世界の宇宙開発は月面での持続的活動を前提とした段階に移行しつつある。米国はアルテミス計画および「Moon to Mars」構想のもと、月の南極域を中心に長期探査拠点の構築を進めている。
月面での持続的活動を目指す各国
米航空宇宙局(NASA)は月面インフラ整備を段階的に進めている。商業月輸送サービス(CLPS)を通じて民間企業によりローバーや着陸機を月面に送り、観測データを取得する計画だ。また通信や測位の仕組みづくりも進められている。
中国も月探査と有人宇宙活動を並行して進めている。中国国家航天局(CNSA)および中国有人宇宙飛行工程弁公室(CMSA)は、嫦娥計画の成果を基盤に、有人月面着陸を2030年前後に実現することを目指している。また中国はロシアとともに2021年に国際月面研究ステーション(ILRS)構想を発表し、月面に長く滞在して研究する拠点を構築する計画だ。
日本では宇宙航空研究開発機構(JAXA)が月面関連技術の開発支援を進めている。JAXAは宇宙戦略基金を通じて、電気、通信、輸送、ロボットなど月で活動するために必要な技術の支援を行っている。これらは将来の国際月探査に参加するための準備である。
宇宙開発を支える人材は足りるか
月での活動が広がるほど、多くの技術と人が必要になる。宇宙工学だけでなく、ロボットやAI、エネルギー、通信など、さまざまな分野の力が求められる。政府は令和5年に閣議決定した宇宙基本計画で、2030年代早期に宇宙産業の市場規模を約8兆円へ拡大する目標を掲げている。一方、令和5年度の調査では、日本の宇宙機器産業の従事者は約1万人規模にとどまる。米国や中国が月面での持続的な活動に向けて開発体制を拡大する中、日本の宇宙分野を支える人材層は決して厚いとは言えない。
さらに、日本では人口減少も続いている。5月29日に発表された令和7年国勢調査人口(速報値)に基づく試算結果によれば、日本の総人口は10年前に比べて約400万人減少している。宇宙開発の規模が拡大する中で、それを支える人材をどう育て、確保していくかが重要な課題となりそうだ。
画像提供:NASA(月面基地計画第3段階の、アーティストによるイメージ図。)

