例年より5週間早い流行入り、インフルが夏に広がる理由は?

「インフルエンザは冬の病気」のはずなのに、なぜ今流行しているのだろうか。厚生労働省は8月28日、インフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表した。8月17~23日の1週間で、定点医療機関当たりの患者報告数は1.11人だった。これは流行開始の目安となる1.00人を超えている。さらに8月24~30日には1.76人に増加し、患者報告数は6543人と、前年同期の約4.9倍に達している。2025年は9月下旬の流行入りだったため、今年は5週間早い。記録が残る1999年以降では、2009年に次いで2番目に早い流行入りだ。

そもそもインフルエンザは、夏には流行しないのだろうか。実は、ウイルスは1年を通して世界のどこかで流行している。日本のような温帯地域では冬に大きな流行が起きやすい一方、熱帯地域では年間を通じて感染が起こる。日本でも以前から夏に患者が発生することがあり、夏の発生自体は珍しいことではない。「日本が熱帯化したため、インフルエンザが夏にも流行するようになった」とする明確な根拠はない。流行には気温や湿度だけでなく、人の行動や社会全体の免疫の状態、ウイルスの性質など、さまざまな要因が関係している。

では、なぜ今年はこれほど早いのだろうか。南半球では日本と季節が逆であり、温帯地域では4~9月ごろにインフルエンザが流行する。人の移動によって、地域を越えてウイルスが広がることもある。ただ、こうした要因だけで今回の早い流行を説明することはできない。なぜ2026年は例年より早く日本で流行が始まったのか、その理由はまだはっきりしていない。夏に流行したからといって、新しい種類のウイルスが出現したことを意味するわけでもない。

では、このまま冬も大流行するのだろうか。夏に流行入りしたという事実だけから、この冬の流行規模を予測することはできない。流行の大きさは、ウイルスの性質や人々の免疫状態、気候、人の行動などによって変化するからだ。今回の異例の早さは、インフルエンザの流行が季節だけでは説明できないことを改めて示している。

画像提供:CDC/Dr. F. A. Murphy(電子顕微鏡で見たインフルエンザウイルス。写真はインフルエンザウイルス粒子を撮影したもの。)