「統合失調症」病名変更が偏見・差別減少に効果 東大調査

11月26日、東京大学学生相談ネットワーク本部の小池進介講師らの研究グループが、過去約30年間の新聞記事2200万件、NHKニュース94万件を扱った網羅的な調査から、統合失調症の病名変更が新聞報道に与えた影響について発表した。調査結果では病名変更が病気の偏見・差別の減少に影響を与えた可能性が示された。

日本では2002年に統合失調症は精神分裂病から名称を変更し、世界に先駆けて偏見・差別に対する取り組みをしてきた。しかし、病名変更がマスメディアに与えた影響を解析した研究は無かったため、本研究グループが1985年1月1日から2013年12月末日までに掲載された各社新聞記事2200万件のうち、見出しもしくは本文に「精神分裂病」「統合失調症」「うつ病」「糖尿病」を含む5万件と、NHKニュース94万件から抽出した1100件において、各病名についての記事件数を年ごとに検討した。さらに新聞記事見出しについてはビッグデータの解析手法の一つであるテキストマイニング(注1)という手法で分析した。結果、病名変更後に精神分裂病を使用する記事はほとんどなく、病名変更によって統合失調症の偏見・差別の減少に一定の貢献をしているという可能性が示された。

旧病名である精神分裂病はマイナスのイメージを想起させるため患者家族団体等の働きにより変更が実現したが、統合失調症を扱う際に犯罪と関連付けて報道され続けた場合、同様の偏見・差別が生じる可能性もある。現に、今回の調査結果によると、傾向として統合失調症が犯罪に関連づけされているケースが多く、メディア報道における犯罪記事と精神疾患との関係は、多元的に議論する必要があるということを注意喚起した。

(注1)テキストマイニング:文章を単語や文節で区切り、出現頻度、出現傾向、時系列などを解析する方法。日本語の言語解析処理の発展と、文章の電子化が進んだことによって、近年急速に注目されている。膨大なテキストデータを多角的に、客観的に解析できる。

(写真はイメージ)

関連記事一覧