金星探査機「あかつき」、日本初の惑星探査機へ

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7日、金星探査機「あかつき」が5年ぶりの再挑戦で金星を周回する軌道に入るため、午前8時51分から計画通り約20分間の姿勢制御用エンジンの噴射を行なったと発表した。探査機が金星周回軌道に投入できたか判明するのに2日程度かかる見込み。9日18時に改めて結果が発表されるが、無事に周回軌道に入っていれば日本初の惑星探査機となる。

あかつきは2010年5月21日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、同年12月7日、金星の周回軌道に入るためにメインエンジンを噴射中に燃料の逆流を防ぐ弁が壊れて十分に減速できず、金星重力圏を通り越して太陽を周回する軌道に入った。2011年11月には姿勢制御用エンジンで約10分間の連続噴射を試み、2015年末に金星に近づく軌道に移った。そして再挑戦となった今回は、壊れたメインエンジンの代わりに姿勢制御用エンジン4基を20分28秒にわたって連続噴射した。姿勢制御のための小型エンジンなので、本来は長時間連続噴射するものではないが、4基あわせてもメインエンジンに比べてパワーが5分の1以下しかないためだ。

この5年間、あかつきは金星よりも太陽に近い位置を飛行しており、最も熱に耐えられる面を常に太陽に向ける運用で対処してきたが、設計時の想定よりも最大で3割増しという厳しい熱にさらされてきた。しかも、設計寿命の4年半も既に超過しているため、搭載している観測機器が劣化している可能性もある。当初の予定よりも金星から離れた位置を周回する軌道ではあるが、金星観測でも科学的な成果を得て、ミッションを完遂してほしい。

画像提供:JAXA