特定外来生物カナダガンを根絶

環境省は8日、特定外来生物のカナダガンについて、国内で定着が確認されていた個体を根絶したと発表した。同省によるとわが国に定着した特定外来生物を根絶した事例はカナダガンが初めてとのこと。

カナダガンの原産地は北米。観賞用として導入され、爆発的に増加したことがヨーロッパやニュージーランドでも確認されている。増殖率が高いため、農業被害以外にも近縁種の絶滅危惧種であるシジュウカラガンとの交雑などの遺伝的かく乱が心配される。

日本では2014年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」に基づく特定外来生物に指定された。日本で定着があったのは茨城県牛久沼、神奈川県丹沢湖、山梨県河口湖、山中湖、長野県軽井沢町、徳島県徳島市など。2010年から有志の調査グループが主体になって各地で成鳥の「捕獲」と「擬卵交換」による増殖抑制という手法で防除が進められた。2014年までに71羽、卵150個以上を防除し、2015年に残り8羽の防除を完了した。これにより、人為によって日本に定着したカナダガンは根絶したが、新たな定着を予防する必要があることから特定外来生物の指定は継続するという。

同省は「個体数拡大の初期に対応し、被害の未然防止がされた良い事例であり、特定外来生物に指定された外来生物においては、初めてとなる国内での野外根絶になると考えられます」と述べている。

(写真はイメージ)