流通業者のビッグデータ活用を具体化 経産省

経済産業省は、流通業向けのビッグデータ活用の方向性について研究会を開き、2日報告書を取りまとめ発表した。ビッグデータを利活用するリスクを懸念し、躊躇ちゅうちょしている企業が多いことが分かったため、消費者に対する適切な通知・同意・選択などのコミュニケーション方法を検討し、報告した。

報告されたのは「カード入会による顧客プロファイリング」と「実店舗におけるカメラ画像解析による店内行動分析」のケースについての方向性だ。いずれも、流通業者にとって利点は多くあるものの、最近は流通業者がカード情報を共同利用したりするケースや個人情報と同レベルの情報が取得されるケースなど、多くの消費者にとっては不安感も多い。このため、「利用目的」「利用主体」「本人が気づきにくい情報」の3点を利用者に明示することを視野に入れて、個人情報保護ガイドラインを明確化することなどを検討するという。

<カード利用・店内行動分析が導入されると>
企業が消費者向けにポイントサービスなどを付加したカードを導入することにより、入会情報および購買情報による顧客のプロファイリングが可能となる。例えば、カード入会時に登録された21歳女性「Aさん」という情報に加え、「アーティストCの楽曲データを発売当日に購入した」や「高級チョコDを定期的に購入している」などの情報により、その情報を元に購買傾向や嗜好分析およびオススメ情報の提供などが可能となる。

また店内行動分析が可能になると、購買・非購買者の年齢や性別の判定、店内での動線分析などが可能になる。例えば、新たに入店した顧客を入店時に「30代男性」と判別、その後店内での動線を捕捉し、手に取って購入した商品や購入しなかった商品なども把握することができる。従来は商品購入者情報までしか手に入れられなかったが、行動分析によって「手に取ったが購入しなかった」という情報とその顧客属性を把握することができる。また顧客が店内を行き来することが多い場合は商品の陳列を修正することも可能になる。

ビッグデータにより産業の効率化や商品の進化が期待できる反面、個人情報保護などの適切なガイドラインの策定は急務といえる。

 
(写真はイメージ)

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