G7エネ相会合、投資促進とLNG市場確立で合意

北九州市で開かれた主要7カ国(G7)エネルギー大臣会合は、共同声明「グローバル成長を支えるエネルギー安全保障のための北九州イニシアティブ」を採択して2日閉幕した。原油価格低迷で減速していたエネルギー分野への投資をG7主導で促進すること、液化天然ガス(LNG)供給について流動性のある市場を形成することなどが盛り込まれた。

先進主要7カ国と国際エネルギー機関(IEA)、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の代表が会し、林幹雄経済産業大臣が議長をつとめた。「エネルギー投資の促進」「エネルギー安全保障の強化」「持続可能なエネルギー」について議論した。

原油価格の下落が進む中で、エネルギー開発などへの投資減少が懸念されていたため、G7が協調して投資促進を主導することで合意。価格安定のための上流事業への投資、再生可能エネルギーなどクリーン・エネルギーの技術開発投資、エネ効率向上のためのインフラ投資の3つが重要であるとする認識を共有した。

また、エネルギー安定調達を目指すため、LNGの国際的な市場確立を目指すことで合意。輸出国が輸入国に求めている規制の緩和や、LNGの価格指標の確立などに包括的に取り組む。経済産業省が今回の会合に合わせて発表した「LNG市場戦略」では、国際的な市場を創設するとともに2020年までに日本を拠点(ハブ)としていくとしている。

このほか、原子力政策についても議論が交わされた。原子力発電推進派の5カ国と脱原発を表明しているイタリア・ドイツで立場は異なるものの、高いレベルの原子力安全、核セキュリティと核不拡散を確保するとともに、専門的知見や経験を共有することで共同声明がまとめられた。

<日本のLNG市場戦略>
経済産業省が今回の会合で発表したLNG市場戦略は、国際的なLNG市場を構築することで需給安定化と取引価格の抑制・安定化を狙ったもの。さらに2020年までに日本を取引・価格形成のハブにする計画だ。

LNGは燃料の中で温室効果ガス排出が最も少なく、アジアを中心として世界的に需要が増加している。日本はLNG輸入の37%を占める世界最大の需要国だが、LNGの価格は長期契約で原油価格に連動して決定する方式のため、調達価格が高騰することが課題だった。欧米では原油価格に連動した方式ではなくガスそのものの需給が反映された価格決定となっている。

今後、米国やオーストラリアなどからのLNG輸出量増加や、国内の電力・ガス自由化によるLNG調達構造といった環境変化が見込まれることから、柔軟で流動性の高い市場づくりの好機としている。LNG 市場の確立に向けた取り組みを進め、11月にLNG産消会議を東京で開催し、生産国・消費国両方との連携を強化する。

 
(写真はイメージ)

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