
地球生物史における「脊椎動物の時代」始まりの契機を解明 OIST
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は13日、後期オルドビス期の大量絶滅イベント(LOME)と呼ばれる生物史上の大混乱を経て、脊椎動物が地球の動物界で主流となる流れが形づくられたことを明らかにしたと発表した。この研究成果は国際学術誌に掲載された。
約4億8600万年前から4億4300万年前にかけてのオルドビス期の地球は現在とは大きく異なる環境だった。南半球には超大陸ゴンドワナが広がり、その周囲を広大な浅海が取り囲み海水は比較的温暖だったという。また海の中は三葉虫、ウミサソリ、オウムガイ、サカバンバスピスなど多様で奇妙な生命であふれていて、脊椎動物の祖先である顎を持つ魚類(顎口類)はまだ稀な存在だった。
しかし4億4500万年前、地質学的にはごく短い時間のうちに、地球は急激に寒冷化した。ゴンドワナ大陸に氷床が形成されて海面が低下した結果、広大な浅海域が失われ海洋生物の約85%が絶滅したとされている。
OISTの研究グループはオルドビス紀後期からシルル紀前期にかけての古生物学研究を統合した新たな化石記録データベースを構築した。これによって当時の生物の属レベルでの多様性を定量化するとともに、大量絶滅前後の生物地理の変化を初めて体系的に検証できるようになった。
そして検証の結果、大量絶滅イベントは、寒冷化による浅海の生息地の干上がりと、その後の温暖化で氷冠が解けて硫黄分が多く酸素が乏しい海水が広がったことの二段階で進行したことがわかった。
生き残りの生物は「レフュジア」と呼ばれる深海で隔てられた避難所に閉じ込められていたが、その中で顎口類が優位に立つようになった。今回、同グループは種が地球規模で移動した軌跡を追跡することで、レフュジアを特定することに成功。顎口類の化石は数百万年に渡り中国南部の安定したレフュジアに集中し、やがて外洋を越えて他の生態系まで移動するようになった。その一方で、顎を持たない魚類は他の海域で4000万年に渡り生息していた。なお、顎を持つ魚類がレフュジアから広がった後で、なぜ優勢になったのかはまだわかっていない。
同グループは今回の研究により、場所、形態、生態、生物多様性を統合的に捉えることで、大きな環境変動後に初期の脊椎動物の生態系がどのように再構築されたかを、解明できるようになった。大量絶滅によって、脊椎動物が後に地球上で繁栄する時代への転換点となった可能性があるという。

画像提供:OIST(冒頭の写真はイメージ)

