
農業用ハウスで発電と栽培を両立 有機太陽電池の導入コスト削減に期待
大阪大学は25日、農業用ハウスで発電と農作物の栽培を両立できる有機太陽電池の高性能化に成功したと発表した。植物の生育に必要な光はハウス内に通し、光合成への影響が比較的小さい光を選択して発電に利用する仕組みで、栽培試験では通常のハウスと同程度の生育が確認できた。食料生産と再生可能エネルギーの確保を同時に実現する技術として、国際学術誌に掲載された。
食料安全保障や気候変動への対応が求められるなか、農作物を安定して生産できる農業用ハウスの重要性が高まっている。近年は気候変動の影響で夏場の高温が農作物に負担となり、温度管理のためのコストは増加している。また、環境制御に必要なエネルギーの多くは化石燃料に依存しているのが現状だ。そのため、再生可能エネルギーの導入が求められるが、農業用ハウスは設置面積が大きく、導入する太陽電池の大面積化も求められる。そのため、発電性能だけでなく、低コストで導入できる太陽電池技術が必要となっていた。
大阪大学、諏訪東京理科大学、大阪公立大学の研究グループは2024年、有機半導体を使った軽量で柔軟な有機太陽電池を開発した。植物は主に青色光と赤色光を利用して光合成をするが、この太陽電池は光合成への寄与が比較的小さい緑色光を選んで吸収し、発電に利用する。今回の研究ではさらに、低コストで製造できる新しい材料を採用し、フィルム状の太陽電池を連続生産する技術によって、実用規模となるメートルサイズのパネルの作製が可能となった。実際に農業用ハウスへ設置し、トマトやホウレンソウ、ヒマワリ、トルコギキョウなどを栽培したところ、通常のハウスと比べて生育や収量に大きな違いは見られなかった。
この有機太陽電池は軽く、折り曲げることも可能なため、既存の農業用ハウスにも設置しやすいという特徴がある。この技術が実用化されれば、農地を発電設備に転用することなく、同じ場所で食料と電力を生み出すことができ、農業分野の脱炭素化やエネルギーコストの削減に加え、食料の安定供給への貢献が期待される。

緑色光波長選択型有機太陽電池モジュールと農作物評価
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画像提供:大阪大学(冒頭の写真はイメージ)

