AI解析で熱電材料の新指針、排熱発電を効率化へ 京大など

京都大学などの研究グループは22日、排熱を電気に変える「熱電材料」の性能を高める新たな設計指針を、AI(人工知能)による解析で見つけたと発表した。高性能な熱電材料では、熱を運ぶ2つの仕組みの割合がほぼ半々になるという共通の特徴を明らかにし、「黄金比」ともいえる理想的なバランスの目安を示した。これにより、新しい材料の探索や改良を効率化できる可能性があり、自動車や工場、データセンターなどで捨てられている排熱の有効利用につながる成果として期待される。研究成果は国際学術誌に掲載された。

私たちが石油や天然ガスなどから得るエネルギーの半分以上は、最終的に熱として失われている。熱電材料は、この熱を直接電気に変えられることから、脱炭素社会を支える技術として注目されている。しかし、高性能な材料を見つけるには膨大な候補を調べる必要があり、開発には長い時間と多くの試行錯誤が必要だった。

そこで研究グループは、世界中の論文から集めた約7万2000件の実験データをAIに学習させ、熱電材料の特徴を分析した。その結果、性能の高い材料では、熱の約半分を原子の振動が、残り半分を電子など電気を運ぶ粒子が担うという共通する傾向を発見した。これまで30年以上にわたり材料開発の指針とされてきた理論を、実験データに基づいて裏付けた形となる。

さらに、この結果をもとにAIの機械学習モデルを構築し、約10万5000種類の材料候補(化合物)を解析した。その結果、熱を伝えにくい有望な材料候補2522種類を絞り込み、どの元素を加えれば性能向上が期待できるかまで予測できることを示した。

今回の研究の特徴は、AIが有望な材料を探すだけでなく、性能を高める方法まで提案できる可能性を示した点にある。今後は、自動車やデータセンターの排熱回収をはじめ、電池交換が難しいIoTセンサーの自立電源や宇宙探査機の電源など、さまざまな分野への応用が期待される。研究グループは、AIが材料探索から性能向上までを一貫して担う「自律的材料開発」の実現を目指すとしている。

膨大な実験データからデータ解析で高性能材料の「目印」を抽出し、新しい熱電材料の設計につなげる (作成:孫一帆/画像生成:ChatGPT 5.6 Solを使用)

画像提供:京都大学(冒頭の写真はイメージ)