バッテリー不要の長距離無線センサーを開発 橋や高速道路を常時監視へ 阪大

大阪大学は26日、50メートル以上離れた場所から、バッテリーを一切使わずに構造物のひずみや水素ガス濃度を無線で測れる高感度センサーを開発したと発表した。老朽化が進む高速道路や橋梁などの社会インフラを、定期点検ではなく常時監視できるようになる革新的な技術として期待される。この研究成果は国際学術誌に掲載された。

高速道路や鉄道の橋梁、各種エネルギープラントや水道・ガスパイプラインなどの社会インフラの老朽化が深刻な社会問題となっている。現在のインフラ点検は目視や打音検査などの定期点検が中心だが、対象が膨大で頻繁な検査は難しい。雨や気温で数値が変わるため、正確な劣化判断も難しい。これらの問題を解決するために、バッテリーなどによる給電を一切必要とせず、50メートルを超える距離での無線計測が可能なセンシング技術が望まれていた。

今回研究グループが開発したのは、薄い水晶を使ったセンサーだ。センサーに電磁波を当てると内部の水晶が振動し、その振動の周波数を遠方から受信して計測する。センサー側に電池や電源は不要で、半永久的に作動する。また温度変化の影響を受けにくいのも特徴で、野外での長期間使用に向いているとしている。

実験では、50メートル以上離れた位置から構造物のわずかな変形(ひずみ)を正確に測ることに成功した。また、水素ガスを吸収して膨らむ膜を付けたセンサーでは、数十メートル先の水素濃度も無線で検知できた。

同グループは、この技術を使えば橋や高速道路、発電所、煙突など、人が近づきにくい場所でも常に状態を監視できるため、定期点検から「常時モニタリング」へ移行することで、事故を未然に防ぎ、安全性を大きく高められるとしている。また、安価な水晶を使うため普及もしやすく、国土の強靱化にも貢献するとみられるとした。

開発したセンサーの外観。面内寸法は3mm角。厚さは0.2 mm。内部に、厚さ約10μmの水晶マイクロベルが設置されている

画像提供:大阪大学(冒頭の写真はイメージ)