なぜ海まで暑くなるのか 世界で拡大する「海の猛暑」海洋熱波

2026年夏、世界各地で40℃を超えるような異常な暑さが相次いだ。ところが、暑くなっているのは陸だけではない。海もまた、異例の高温になっている。欧州のコペルニクス気候変動サービス(C3S)によると、8月22日の極域を除く地球全体の平均海面水温は21.1℃に達し、1979年以降で最高となった。海の表面温度がこれほど高くなるのは、なぜなのだろうか。

海にも、大気の「熱波」に相当する「海洋熱波」という現象がある。海面水温が、その場所・時期として異常に高い状態が続く現象だ。韓国気象庁によると、韓国周辺で海洋熱波が発生した日数は過去10年間で年間平均83.3日となり、長期平均の22.6日の約3.7倍になった。高水温によって、2026年5月から8月25日までに480万匹以上の養殖魚が死ぬ被害も出ている。

海洋熱波は世界各地で起きている。2025年6月には、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学などの研究グループが、2023年に北大西洋で発生した極的な海洋熱波を調べた研究を科学誌『Nature』に発表した。異常に弱い風によって海の表層がかき混ぜられにくくなり、海面近くに熱が蓄積したことが主な原因だという。

では、海の暑さは陸の暑さにも影響するのだろうか。筑波大学の研究グループは2025年9月、2023年夏の東アジアの猛暑を調べた研究を学術誌『AGU Advances』に発表した。数値シミュレーションの結果、周辺海域の海洋熱波によって、高温・多湿の猛暑の強さや持続時間が約20~50%増幅されたことが示された。海洋熱波によって下層雲が減り、水蒸気が増えることで、地表に届く熱が増えたと考えられている。

もちろん、2023年の研究結果をそのまま2026年に当てはめることはできない。実際の猛暑には大気の流れなど、さまざまな要因が関係する。それでも、海の異常な暑さが陸の猛暑を強めることがあるという事実は重要だ。海洋熱波は魚やサンゴなどにも影響する。暑い夏を考えるとき、陸の気温だけでなく、そこに蓄積された熱を受け止めている「暑い海」にも目を向ける必要がありそうだ。

画像提供:C3S/ECMWF(2026年6月の海面水温の平年差と極端値。1991~2020年を基準。)