巨石の手積みで作られた 奈良・明日香村の石舞台古墳

11月、奈良県明日香村の石舞台古墳を訪れた。築造は7世紀の初め頃と推定され、日本最大級の横穴式石室を持つ飛鳥時代を代表する古墳のひとつだ。造られた当時は、1辺あたり約55mの墓だったが、早い時期に上部の盛り土が失われた。現在は巨大な石室があらわになった状態で、この形状から石舞台と呼ばれるようになった。この石舞台の中に入った。

巨石の手積みで作られた 奈良・明日香村の石舞台古墳

外壁は自然な石の形でかなりの凹凸おうとつがあるが、中は平らになっている。平面部分には絵文字のようなものも写し出されていた。石舞台には大小30個もの花こう岩が使われ、一番大きなもので77トンほど。ここに誰が埋葬されたのかは不明だが、6世紀後半にこの地方で政権を握っていたと言われている蘇我馬子の可能性が高いとされている。

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巨石の手積みで作られた 奈良・明日香村の石舞台古墳

石の積み方はテコの原理を使って土嚢どのうを何段も積み重ね、片方の土嚢を順に外し、重りとバランスをとりながら少しずつ巨石を浮かす。てこ、ころ、ろくろ、滑車などを使って石を運び、石を立てながら土を詰め込んでまっすぐにし、天井石をおいてから内部の土を取り除く。封土でおおい壕を掘り、上部を小石でふいて完成する。驚くほどの創意工夫だ。一時代を築いた時の権力者たちを手厚く葬ることにどんな目的と意図があったのだろうか。1300年を経た古墳を前に、しばし飛鳥の風に吹かれてみた。

巨石の手積みで作られた 奈良・明日香村の石舞台古墳
 
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