サンゴの天敵オニヒトデ駆除に新手法、匂いで誘導 OIST

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は19日、オーストラリアのサンシャインコースト大学と共同で、サンゴ礁を食い荒らすオニヒトデが匂いを嗅ぎ分けてコミュニケーションを取っていることを発見したと発表した。オニヒトデの効果的な駆除に寄与することが期待できる。この研究成果は国際学術誌に掲載された。

オニヒトデは毒を持ったとげに体を覆われていて、大発生が起こると、数1000匹のオニヒトデが数カ月の間で数ヘクタールのサンゴを食い荒らす。沖縄では過去70年に渡って、オニヒトデの大発生が繰り返し起きていた。オニヒトデの対策は、一匹ずつ手作業で取り除いて駆除する方法が主流だが、労働集約的でコストもかかることが課題だった。

研究グループは、オニヒトデの特徴的なとげに着目した。ゲノム解析とタンパク質解析によって、オニヒトデのとげは防御のために使われる毒素だけでなく、さまざまなペプチド(アミノ酸が2個以上つながった化合物)を感知し分泌するために使用されていることが明らかになった。これらのペプチドは群れの行動を促進する可能性がある。そこでフェロモンのような働きをすると思われるペプチドを合成したところ、オニヒトデの軌道に常に影響することがわかった。

今回の研究成果は、オニヒトデを特定の場所に誘導し、多くの個体を一度に効率よく駆除することを可能にする、ペプチドの開発につながる可能性がある。今後はフェロモンのような働きをする物質を活用し、オニヒトデの大発生に対する効率的で安全な対策法の開発に貢献していくとしている。

画像提供:OIST