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「日本の名勝地を歩く」7月、白神山地ブナ原生林と暗門の滝

7月下旬、秋田県と青森県にまたがる白神山地を訪れた。専門ガイドの案内を受けながらブナ林散策道を抜けて川沿いに、さらに暗門あんもんの滝まで往復約3時間のトレッキングコースだ。

白神山地はブナ原生林で知られている秋田県と青森県にまたがる山々のことを言い、今から約200万年前に始まった日本海の隆起が起源とされ、縄文時代から森の母としてそこに生きる動植物たちを育んできた。1993年12月には、日本初の世界自然遺産として登録された。ブナの森は非常に高い保水力を持ち、緑のダムの役割を果たす。ガイドの説明では、200年間雨が降らなくても大丈夫なくらいの貯水があるとのこと。

手付かずの自然が残されたのには、2つ理由がある。ブナの木がその高い保水力以外には使い道が無いこと、もう一つは急斜面にブナの木が生えていたので、伐採する作業が困難だったためだ。こうして命の満ちる森としての生態系を維持してきた。過去、ここで1週間遭難した親子が、森の水とそこに生えている山菜を食べて命をつないだ、と話していたそうだ。

ブナ林を抜けると岩木川の支流に出る。川沿いに遊歩道が整備され、暗門の滝へと至る。

高い保水力をもつブナの木
高い保水力を誇るブナの木
雨が降ると、ブナの葉がその水を受け、枝から木へとその水分を吸い込み、根から土壌を通じて水が完全に浄化され、川へと流れる。

ブナ林遊歩道
ブナ林遊歩道

川沿いに咲くくるまユリ
川沿いに咲く 車ユリ

暗門の滝
暗門の滝
かつては暗い門とは書かず、安らかな門、安門の滝と呼んでいたが、自然を保護するため、あえて暗い門と書いて人々の足を遠ざけた。先人の深い知恵だ。

暗門の滝から川沿いの道を歩いて帰路へ
 岩木川支流の小滝