幸せなウシの育て方 アニマルウェルフェアとは

幸せなウシの育て方 アニマルウェルフェアとは

前回紹介した「なかほら牧場 幸せのヨーグルト」。日本で一番の牛乳を生産する中洞牧場の牛は「幸せ」であるとホームページにも書いてあるのだが、家畜動物の「幸せ」とは何だろうか。

アニマルウェルフェアとは

家畜動物だけでなく、ペットを含むすべての動物に対して「アニマルウェルフェア(Animal Welfare)」という言葉がある。

ウェルフェアには「福祉」という意味があるが、「満たされて生きる状態」という意味で、「アニマルウェルフェア」とは「快適性に配慮した家畜の飼育管理」のこと。生乳生産や食肉生産のために、家畜を畜舎に詰め込むような工業的な畜産を改め、家畜動物が飼育過程のストレスから解放された健康的な生活ができるようするという、欧州発の考え方である。

1960年代に英国のルース・ハリソン氏が出版した『アニマル・マシーン』という近代畜産の状況を批判した本が大きな関心を呼び、のちに英国政府によって家畜動物の「5つの自由」が定められた。

「5つの自由」
・空腹と渇きからの自由
・不快からの自由
・痛みや傷、病気からの自由
・正常な行動を発現する自由
・恐怖や苦悩からの自由

世界で進む法令化

このように家畜動物をストレスから解放するような飼育方法に関する基準の法令化が今、世界で急速に進んでいる。
1997年、欧州連合(EU)の憲法にあたるアムステルダム条約に法的拘束力のある議定書が盛り込まれ、2009年にもリスボン条約で新たな施策が具現化している。EUでは2012年から採卵鶏のケージ飼育が全面禁止された。
世界動物保健期間(OIE)でも、2005年からアニマルウェルフェアに関する基準を作成している。日本でもOIE指針に準拠した乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏・ブロイラーそれぞれの飼育管理指針を定め、普及している。

中洞牧場の牛たち

「幸せのヨーグルト」の原料となる牛乳を作っている中洞牧場は、岩手県北上山系の標高700~850mにあり、山の植生を利用する「山地(やまち)酪農」と呼ばれる方法で牛を飼っている。牛舎で牛を飼うのではなく、1年中、山に放牧し、食事も睡眠も、交配も哺育もすべて牛に任せるという方法だ。一般的には、牛舎で牛を飼い、餌は輸入飼料などを食べさせ、人工的に受精させているので、山地酪農のような方法は珍しい。アニマルウェルフェアという考え方をそのまま実践しているような牧場といえる。牛は自由に牛らしく生活できるのでストレスがなく、結果としておいしい牛乳を作るのだろう。

(写真はイメージ)

参考記事
牛も人も、幸せのヨーグルト なかほら牧場の山地酪農(2017/8/2)

 
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