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10代が陥りやすい「ゲーム依存症」はなぜ危険なのか? 前編

10代が陥りやすい「ゲーム依存症」はなぜ危険なのか? 後編

10代の子どもたちの柔軟な脳に深刻な影響を与えるゲーム依存症。最終回の今回は、そこから抜け出す方法と、親の立場で子どもの依存症に対してどのように接したらいいのかを解説いただきます。

解説:垣渕洋一
成増厚生病院・東京アルコール医療総合センター長
専門:臨床精神医学(特に依存症、気分障害)、産業精神保健
資格:医学博士 日本精神神経学会認定専門医

 

ゲーム依存から抜け出す方法とは?

自分自身が「ゲーム依存症に陥っているのではないか?」との危機感を感じた場合は、まず期間限定でよいので「断ゲーム」に挑戦してみましょう。しかしこれが期間限定でも不可能だったり、「断ゲーム中」にゲームをやりたい欲求が続き、イライラする、苦しいといった状態になるのであれば、医療機関に相談することを勧めます。「期間限定なら大きな苦痛はないが、再開すると、元の状況に戻ってしまう」という場合も同様です。ちなみにオンラインゲームの場合、アカウントを削除しないでいると再発率が高いので、「断アカウント」が治療の目標になります。

親の立場で、自分の子どもが依存症かもしれないと思われる場合は、まずゲーム依存について知ることが大切です。専門外来がある医療機関の家族講座への参加、ネットや書籍でも知識を得ることができます。
次に、親自身が依存症者として生きている姿を子どもに見せていないかを点検することも重要です。親自身がギャンブル、アルコール、タバコなどに依存している状態で、子どもにゲームを止めろといっても効果はありません。もし問題があるならば、親がまず自分自身の問題に取り組む必要があります。
 

ゲームに夢中になっている子どもには理由がある

3つ目は、子どもと丁寧に意思疎通することです。ゲーム依存になる子どもは、リアルの生活で評価を受けられない、友人を作るのが苦手といった背景があり、孤独で人も自分をも信頼できないという感覚をもっている場合が多いと言われています。そういう子どもにとって、ゲームは自己治療のツールとなってしまうのです。なぜならゲームの世界では、リアルの生活では得られないスリルを味わい、賞賛も得、仲間意識を持って誰かの役に立つという体験をすることができるからです。十分な時間をかけて最後まで子どもの話を聞くのは大変なことですが、子どもにとっては、自分のことを心から愛し心配してくれる人に話を聞いてもらえることはうれしい経験になるはずなのです。そして、ゲーム依存になる経緯や原因の根本を子どもと共有することができれば、孤独や現実の問題から逃れるために依存症に陥る「自己治療」ではなく、問題と向き合って根本解決を目指す正式な治療に切り替えることも可能になり、ゲームに向かう関心を勉強、スポーツ、野外活動、芸術など他の活動に置き換えることにもつながります。

一方で、子どもとの対話の場を作ることが容易ではないという場合もあると思います。その場合は、専門外来を置いている医療機関に親だけでも受診して経緯を話し、アドバイスをもらうとよいでしょう。また、こういった医療機関では前述のように家族講座や家族ミーティングが開催されていますので、参加してみることをお勧めします。ちなみに、タブレット・スマホを取り上げる、ゲームをする時間を制限するといったことを無理やりしても抜け道はいくらでもありますし、暴力を始めとする抵抗を招く可能性もありますので、これは根本解決にはならず、お勧めできません。
 

【ネット依存の外来と研究部門のある医療機関】
久里浜医療センター ネット依存治療研究部門
http://www.kurihama-med.jp/tiar/

【その他、全国にある医療機関の一覧】
http://www.kurihama-med.jp/2017_net_list.html

(写真はイメージ)

参考記事
10代が陥りやすい「ゲーム依存症」はなぜ危険なのか? 前編(2018/08/03)
10代が陥りやすい「ゲーム依存症」はなぜ危険なのか? 中編(2018/08/05)

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