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ドレスデンに帰ってきたバウムクーヘンの老舗 ~ドイツ街めぐり・食めぐり(6)

ドレスデンに帰ってきたバウムクーヘンの老舗 ~ドイツ街めぐり・食めぐり(6)

かつてザクセン王国の都としてその栄華を誇った町ドレスデン。この町に生まれ育った児童文学者のエーリッヒ・ケストナーは、子ども時代の思い出を綴った著書『わたしが子どもだったころ』の中で万感の思いをこめて、かつての美しい街並みへの追憶と、喪失の悲しみを語っている。今、多くの時を経て復興が成されているドレスデンの、歴史ある老舗カフェ「クロイツカム」を訪ねた。

ドレスデンに帰ってきたバウムクーヘンの老舗 ~ドイツ街めぐり・食めぐり(6)
ザクセン王家御用達菓子店だった「クロイツカム」

第2次世界大戦末期の1945年3月13日~15日にかけて、ドレスデンの町は連合軍の激しい空爆に遭い焦土と化した。戦後、この町に生き残った母親を訪れたケストナーは、「ドレスデンは石のかけらになっていた」と書き残している。その後、ドレスデンは東ドイツに組み込まれ、40年間の社会主義体制を経験する。かつてこの町にあった華やかなもの、美しいものの多くは、見る影もなく失われた。

ドレスデンに帰ってきたバウムクーヘンの老舗 ~ドイツ街めぐり・食めぐり(6)
カフェ・クロイツカムの近くにあるフラウエン教会。戦火で焼失し、ドイツ統一後に再生された。

かつてザクセン王家御用達だった老舗菓子店「クロイツカム」は、そんなドレスデンの喪失と復興の物語を象徴する存在だ。クロイツカムの4代目当主フリッツ・クロイツカムは戦後、ソ連統治下となったドレスデンを逃れてミュンヘンへ移転、そこで高級菓子店とカフェ経営を再開した。フリッツさん亡き後の1990年に東西ドイツが統一、翌年1991年にフリッツさんの娘のエリーザベトさんがドレスデンに戻り、カフェ・クロイツカムを復興させた。

優雅な空間で高級なお菓子とコーヒーを楽しむ。そんな習慣が忘れられて久しかったドレスデンにクロイツカムが戻ってきたとき、古い時代を知る市民のひとりがこう言ったという。「ドレスデンにクロイツカムが戻ってきた。この町の本当の復興が今日、始まったんだね」。

ドレスデンに帰ってきたバウムクーヘンの老舗 ~ドイツ街めぐり・食めぐり(6)
往時の優雅な雰囲気を再現したカフェインテリア

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ショーケースに並ぶ色とりどりのケーキ

市街中心部のアルトマルクトにあるクロイツカムのカフェは、ザクセン王家御用達だった往時のインテリアを再現、シノワズリー風の絵が描かれたショーケースには色とりどりのケーキが並ぶ。古風な白いエプロンのウェイトレスが立ち働き、そこにはどこかしら優雅で豊かな時間が流れている。このカフェで、当店自慢のバウムクーヘンとコーヒーを味わうために多くの人たちが立ち寄るゆえんだ。

目まぐるしく時代が移り変わっていく中で、変わらずに愛され続けてきたもの。カフェ・クロイツカムの、バターどっしりでちょっぴり古風なバウムクーヘンには、そんな格別の味わいがある。

ドレスデンに帰ってきたバウムクーヘンの老舗 ~ドイツ街めぐり・食めぐり(6)
クロイツカムの看板商品、薄く切ったバウムクーヘン(3.60ユーロ=約455円)とコーヒー(2.40ユーロ=約303円)。

*1ユーロ=126.51円で換算(8月18日現在)
 

【店舗情報】
Café Kreutzkamm (Altmarkt-Galerie)
Altmarkt 25, 01067 Dresden
Tel +49-351-495 41 72
営業時間 9:30-21:00(日祝日 12:00-18:00)
https://shop.kreutzkamm.de/

(in association with the GNTB/協賛:ドイツ観光局)

 

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