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自然災害に強い新素材の農業用ドーム 金沢工大と地元企業が産学連携で開発

自然災害に強い新素材の農業用ドーム 金沢工大と地元企業が産学連携で開発

金沢工業大学建築学部建築学科の後藤正美教授研究室とジャパンドームハウス(石川県加賀市、以下ジャパンドーム)が研究開発している、食品トレーの素材である発砲ポリスチレンを採用した農業ドームハウスが、国連SDGs達成に貢献できるとして注目を集めている。このドームハウスは自然災害に強く、極めて省エネルギーで室内環境を維持できる利点を持つ。

同研究室とジャパンドームは、機能性耐久樹脂を新素材としたドーム型ハウスの研究開発に長年取り組んできた。食品トレーに使用されている発砲ポリスチレンに、難燃加工やUVカット塗装などの特殊加工を施すことで実現した「発砲ポリスチレンを構造材としたドーム型建造物」は、国土交通大臣認定を受け2016年から製品化されている。

国内では今まで、木材、鉄、コンクリート以外は構造材として認められてこなかったので、このような素材での認定は日本で初めて。発砲ポリスチレンはホルムアルデヒドなどの有害物質が含まれず、電化製品の緩衝材に使用されるほどの強度性もあり、接着剤で簡単に組み立てることができるので短期間での工期が可能。ドーム型にすることで堅固になり、丸い形の相乗効果で、耐積雪、耐風圧、耐震性能を備えた自然災害にも強い構造となっている。実際、2016年の熊本地震の際、被災地に立つドームハウスは全く被害を受けず、被災者の避難場所として利用された実績をもつ。

この素材を使った農業ドームは「建築確認申請が不要」と農林水産省や経済産業省、国土交通省に認められ、ビニールハウスと同等の取扱いができる。また、壁がすべて断熱材であることで密閉性と断熱性が高く、極めて省エネ効果が高いのが特徴。内部は温度や湿度が保ちやすく、病害虫や害獣からの被害も防ぐことができる。

国連全加盟国が達成を目指すSDGsでは「すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靭性(レジデンス)及び適応力の強化」が掲げられている。また同研究は、石川県の地元企業と教育機関による産学連携の研究開発として、地域活性化の一翼を担うという点でも期待されている。

自然災害に強い新素材の農業用ドーム 金沢工大と地元企業が産学連携で開発
避難場所として利用された阿蘇ファームランド

画像提供:金沢大学

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