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ドイツ・バウハウス発祥の町を訪ねる ワイマール編

バウハウスとは今から100年前、ドイツに誕生した工芸・美術・建築・デザインの専門大学の名前です。バウハウスが生み出したデザインや建築のよく知られる特徴には、ミニマリズムと言われる装飾を廃したシンプルさ、機能性を重視したスタイリッシュな工業デザインといったものがあります。これらはしかし現代人の目から見ると、あまり特別な感じはしないかもしれません。なぜなら、その多くが今ではすでに私たちの生活の中に普通に溶け込んでいるから。

今年、バウハウス設立から100周年を迎え、バウハウス発祥の地ワイマールとデッサウには、新たにバウハウス・ミュージアムが開館しました。バウハウスを知るためにはまず、その時代背景から知っておく必要がありそうです。ナチスドイツによって閉鎖に追い込まれるまで、バウハウスが学校として存在した期間はわずか14年間。その軌跡をたどってみました。

ドイツ・バウハウス発祥の町を訪ねる ワイマール編
1923年に建てられた「ハウス・アム・ホルン」
 

「火星人の住む家」と呼ばれたモデルハウス

装飾のない白い箱のようなその家は、まるで「10年前に建てられた」と言われても違和感がない趣で建っていました。バウハウス発祥の地、ドイツ東部の町ワイマールに今も残る「ハウス・アム・ホルン」。バウハウスの理念を表現するためのモデルハウスとして1923年に建てられたものです。「当時の人々が、この家のことを何と呼んだかご存知ですか? 『火星人が住む家』です」。現場を案内してくれたガイドの男性がそのように教えてくれました。

家族用住宅として建てられたこの家は、機能性を考えた構造になっており、当時としては最先端と言える文化的生活が営める環境を備えていました。キッチンやバスルームが完備され、この家の中にある家具やキッチン用品もバウハウスによって作られました。この家が当時なぜ最先端の様相を呈していたのか、それを知るためには、100年前の人々がどのような生活をしていたのかを知る必要があります。

ドイツ・バウハウス発祥の町を訪ねる ワイマール編
ハウス・アム・ホルンのために作られた、ボルガー・ドーゼンと呼ばれる調味料入れ

ドイツ・バウハウス発祥の町を訪ねる ワイマール編
色彩鮮やかな揺りかごは、ペーター・キーラーのデザイン
 

激動の時代に誕生したバウハウス

バウハウスが誕生した1919年は、日本の元号では大正8年に当たります。第1次世界大戦が終結し、ドイツは未曽有の戦死者を出したばかりでなく、敗戦国として膨大な賠償金負担を強いられました。一方で、社会構造が劇的に変化した時期でもありました。ドイツでは帝政が廃止され、ワイマール憲法と呼ばれる民主的憲法を持つ国家が誕生、女性の参政権が認められるようになりました。この当時ドイツではまだ、電気もガスも水道も一般庶民には身近なものではありませんでした。

ドイツ・バウハウス発祥の町を訪ねる ワイマール編
ハウス・アム・ホルンの裏庭の家庭菜園。貧しかった時代、食糧の自給自足は必須だった

今年4月、ワイマールにオープンしたバウハウス・ミュージアム。ここではバウハウスが生まれた当時の時代背景と、発展した経緯を詳しくたどることができます。

第一次大戦に敗れ、貧困と失意の中にあったドイツで誕生したバウハウスは、工業技術が飛躍的に進化した時代において、一般市民の生活を平等に向上させる理念を持っていました。この理念に基づき、大量生産可能で機能性とデザイン性を持つ建築や家具、キッチン用品が多く考案されたのです。そして1926年、バウハウスの理念に通じるフランクフルト・キッチンが誕生します。これは、水道やガスの普及が進んだ1920年代に登場したシステムキッチンの元祖でした。これらの発明は、利便性とデザインを手軽な価格で一般市民に提供し、女性を家事労働の負担から解放する……そのような役割を果たしました。

しかし、当時としては斬新な試みだったバウハウスは、多くの人からの反発にもさらされました。次回は、バウハウスがワイマールから移転することになったデッサウの町を訪れます。

(in association with the GNTB/協賛:ドイツ観光局)

バウハウス・ミュージアム・ワイマール
Bauhaus-Museum Weimar
Stéphane-Hessel-Platz 1
99423 Weimar
https://www.klassik-stiftung.de/bauhaus-museum-weimar/
【開館時間】
9:00-18:00(月曜9:00-14:30)
【入館料】11€(学生3.50€、15歳以下無料)

ハウス・アム・ホルン
Haus am Horn
Am Horn 61
99425 Weimar
【開館時間】
10:00-18:00(冬季10:00-16:00)
*火曜休館
【入場料】4.50€(学生3.50€)

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