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「帆」で温室効果ガス削減を 商船三井他が2022年運航開始目指す

「帆」で温室効果ガス削減を 商船三井他が2022年運航開始目指す

日本海事協会は3日、「ウィンドチャレンジャープロジェクト」の根幹となる「硬翼帆式風力推進装置」の設計に基本承認(AIP;Approval in Principle)を発行した。これは、商船三井と大島造船所を中心に、風力エネルギーを用いた温室効果ガス削減に向けて取り組んでいるプロジェクトで、今回の承認発行により硬翼帆の構造およびその制御に関する基本設計が終了したことになる。

硬翼帆式風力推進装置とは、風力エネルギーを伸縮可能な硬翼帆によって推進力に変換するもので、硬翼帆の開発には金沢工業大学センター・オブ・イノベーション(COI)における研究が活用されている。商船三井と大島造船所は引き続き詳細設計を進め、2022年中に硬翼帆を1本備えた新造船の運航開始を目指している。1本帆による温室効果ガスの削減効果は、日本―豪州航路で約5%、日本―北米西岸航路で約8%が見込まれるという。将来的には複数の帆を持ち、他の温室効果ガスの削減対策と組み合わせることで、2018年に国際海事機関(IMO)が策定した海事セクターにおける温室効果ガス排出量削減目標の達成に向けた、有力な解決策としていくことを狙っている。これは「2050年までに船舶からの温室効果ガス排出量の総量を2008年比で50%削減する」というもの。

なお、金沢工業大学COIは、金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)を中核拠点とし、文部科学省が10年後を見通して設けた「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」に採択された、全国で18あるCOI(Center of Innovation)拠点のひとつ。COIが目指す3つのビジョンのひとつである「活気ある持続可能な社会の構築」について、炭素繊維を中心とした革新複合材料による次世代インフラシステム実現に向けた研究に取り組んでいる。

画像提供:金沢工業大学