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農業用ポンプ設備のリアルタイム遠方監視システムを開発

茨城大と農研、世界の農作物収量予測システム開発へ 食糧安全保障対策の一助に

茨城大学農学部の増冨ますとみ祐司ゆうじ准教授と農研機構農業環境変動研究センターの飯泉いいずみ仁之直としちか主任研究員らは17日、全世界を対象とした農作物収量予報システムの開発に着手することを発表した。これは1~3か月後の農産物の収量を予測できる世界初のシステムになる予定で、2021年度の事業完了を目指す。近年、異常気象などを要因とする世界的な食糧安全保障の危機が高まる中、これに対応する一助となることが期待される。

増冨准教授らは、植生や土中水分量などの衛星データ、世界15機関の予報データを統一したアンサンブル気象季節予報、茨城大学が開発した作物育成シミュレーションモデルの3つを融合し、「全球作物生育監視・収量予報システム」の構築を構想。これにより現在の作物の生育状況のより正確な把握や、3カ月先の収量予報の精度を向上させることができるとしている。具体的には1~3か月後の特定の農作物の収量予報情報について、緯度経度1.25度(約140km四方)程度の空間解像度で取得できるシステムの構築を目指し、完成後はWEBページで公開する予定。

増冨准教授は「宇宙利活用事業に係る支援により、これまで困難であった衛星情報を用いた収量予報という新たなシステムの開発が一気に現実味を増すことになった」として、「このシステムを核として、世界のだれもが即時に作物情報を得られる社会となり、グローバル規模の食糧安全保障に新たなフェーズをもたらしたい」と話している。

同プロジェクトは文部科学省の2019年度宇宙航空科学技術推進委託費事業に採択され、2021年度までの計画で構築を進めていく。

(写真はイメージ)