容器の色で味覚の強さが変わることを解明 食生活改善の応用へ期待

容器の色によって飲み物の特定の味が強く感じられたり弱く感じられたりする。そんな研究結果を千葉大学が7月20日、日本視覚学会の学術誌で発表した。容器の色を調整することで、減塩や糖質制限につながることが期待される。

容器の色と味覚の関係については、これまでの研究でも、カフェオレを白色の容器で飲むと青色や透明の容器で飲むよりも苦味が強く感じられる、橙色や茶色の容器で飲むチョコレート飲料は、チョコレートの味がより濃く感じられるなどの事例が報告されてきた。しかし、これまでの研究では特定の飲料のみが用いられており、容器の色による味覚への影響が、特定の飲料のみで生じるのか、ほかの飲料でも生じるのかはわかっていなかった。また、飲料が直接見える状態で味覚の強弱を評定していたため、容器の色単独によって味覚の違いが生じているのか、飲料の色との相互作用によって生じているのかは明らかになっていなかった。

今回の研究では、クエン酸や食塩などを含む4種類の水溶液を用いて、甘味、苦味、酸味、塩味の4通りの基本味の感じ方が、容器の色によってどのように変動するのかを8色の容器を使用して調べた。容器は色画用紙で完全包装し、飲料は見えないようにした。

実験参加者は目を開けて飲んだ場合と、アイマスクをして飲んだ場合とで感じる味の強度を11段階で評定した。アイマスクをした状態で評価した味の強度を基準とし、目を開けた状態での味の強度の変化を調べた。

その結果、黄色の容器で飲んだ場合は酸味をより強く感じ、緑色の容器で飲んだ場合は甘味が弱く感じられるなど、容器の色によって基準よりも飲料の味を強く感じたり弱く感じたりすることがわかった。この結果から、容器の色からイメージされる味と実際の飲料の味が一致している程度が関連することも示唆された。

今回の研究から、容器の色による味覚の変化は特定の飲料でのみ生じるのではなく、甘味や苦味などの味を感じる強度が、容器の色によって変化するということがわかった。ピンク色の容器は塩味を強調することも明らかになっており、減塩効果など、容器の色を利用した食生活改善にも応用が期待される。

(写真はイメージ)