ペットと人が末永く幸せに暮らせる共生社会を目指すミシュワン

一昔前までは番犬のように人間と主従関係で結ばれていたペットだが、近年は家族の一員として生活を共にする人が増加しており、ペットに対する価値観の転換が起こっている。そんな世相を反映して拡大するペット業界で、ペットが家族の一員として末永く幸せに共生できる社会を目指し、ペットフードの開発・販売を行っているのがミシュワン(東京都渋谷区)だ。社員全員がペットオーナーの同社は、ペットと飼い主がより良い関係性を築いて生活するための仕組みづくりにも積極的に取り組んでいるという。

同社代表の岩井直樹氏に、製品開発のエピソードや、自身が考えるペットとの共生社会について聞いた。

 

ミシュワンの事業を始めたきっかけを教えてください。

幼い頃、実家で犬を飼っていました。食ムラのある子だったのですが、近所のホームセンターでフードを買う以外に選択肢がなく、納得したフードを探すことができない歯痒さを感じていました。そうした経験を通じて、いつでも誰でも購入できるネット販売という形で、理想的なペットフードを届けたいと考えるようになったのがきっかけです。以前は総合商社で貿易業務を担当していたので、その経験を活かして、ヨーロッパ製ドッグフードの輸入販売から始めました。

 

小型犬に特化したドッグフードを9月に販売開始しています。商品開発の経緯を教えてください。

ミシュワンで最初に販売した商品は輸入フードでしたが、それは全犬種、全年齢向けの商品設計になっていました。僕の最初の考えでは、一頭でも多くの犬が健康になってもらえるようなフードを届けたかったので、その目的に合ったフードではありました。

しかし、購入者アンケートを取ってみて分かったのですが、実際は購入者の9割が小型犬オーナーでした。そして、小型犬にとっては、粒が大きかったり、硬いと感じている購入者もいらっしゃいました。それなら、小型犬に特化したフードを自分たちで作ろうと考えたのが、小型犬用フードの開発のきっかけです。

お客様のアンケートの情報からサンプルを作り、モニターチェックを何度も繰り返し、1年以上かけて作っていきました。ミシュワンの社員は全員がペットオーナーで、社員の愛犬たちにも協力してもらいながら、ゼロから作り上げました。人間でも食べることができるヒューマングレード品質の自信作です。出来上がったフードをガツガツ食べてくれるワンちゃんたちの姿を見た時は本当にうれしかったです。

 

御社では、ペットに関する新たな福利厚生制度を導入されましたね。

11月から犬猫ドック制度とペット通院休暇・忌引き休暇を導入しました。犬猫ドック制度は1年に1回、ペットの健康診断の費用を全額補助する制度です。僕たちは、ペットも人間と同じ家族の一員と考えています。社員の健康診断の制度はあるのだから、その家族の健康診断の制度があってもいいと思いました。また、健康診断を受けることで、万が一病気にかかっても早期発見によって救える命もあると思います。それなら会社で費用を負担してでも健康診断を受けてもらいたいというのは、僕としては自然なことでした。11月に導入したばかりですが、社員からの反響も大きく、導入して良かったと思っています。

 

ペットと人の共生社会の実現を目指しているとのことですが、ペットと人が共生するために、今の社会に足りないものは何だと思いますか。

一言で言うなら、愛や思いやりのようなものだと思っています。動物の虐待や殺処分の問題は少しずつ減ってきてはいるものの、まだ動物の命を軽視している人は多いように思います。これは、動物に対してだけではなく、人に対しても同じかもしれません。

社会全体がそのような傾向にある中で、これが解決されれば良くなるというような、一つの正解があるとは思っていません。しかし、ペットを思いやる人が一人でも増えていけば、僕たちが考えるペットと人が幸せに共生できる社会に近づいていくと思っています。

 

ペットを思いやる人が増えるためには、どうしていけば良いでしょうか。

発信し続けることが大切だと思っています。一人の力ではどうにもならない。でも同じ考えを持つ人はいます。ミシュワンが発信し続けることで、それが一つずつ積み重なって生まれてくるものがあると思っています。僕だけでなく、本当に犬を愛している社員たちがミシュワンに集まってくれたから、ワンちゃんファーストの製品をお届けすることができています。

ミシュワンの製品や活動を通して、ペットと人が長く幸せに暮らせる社会につながることを願っています。そして、ミシュワンのフードを食べてくれているワンちゃんのために、企業としても長生きしていきたいと思っています。

画像提供:ミシュワン