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レトロな鉄道&街並み 鳥取県若桜町

鳥取県の東南端に位置し、兵庫県と岡山県に接する若桜わかさ町は人口4000人の小さな町。町の面積の95%が山林でありながら、若桜鉄道の終着駅である若桜駅を始め、歴史を感じる街並みとレトロな列車の走る、ちょっとしたタイムトリップができる場所だ。

100年の歴史ある若桜鉄道

鳥取駅からJR因美いんび線で15分ほどの郡家こおげ駅から若桜駅まで8駅ばかりの短い路線が若桜鉄道だ。1922(大正11)年、郡家から若桜を経て兵庫県に至る山間を貫くルートが計画され竣工された。しかし、1930(昭和5)年に若桜までの19.2kmが開通した後、その先は着工されず、行き止まりのまま工事が終了し現在の形で運行されている。それでも八東川(はっとうがわ)流域の若桜谷地域の発展に、長年にわたり貢献してきた。

1987(昭和62)年からは第3セクター若桜鉄道株式会社に運営が変わり、現在は地域住民の足として、また観光列車として活躍している。ドラマのロケ地となった安部駅や、大型バイクライダーの聖地となっているはやぶさ駅など個性的な駅があり、郡家駅からは乗り降り自由な1日乗車券も発行されている。また、駅舎を始めプラットフォームや橋梁など23の施設が国の登録有形文化財に指定されており、鉄道が運行してきた長い歴史を感じることができる。

味わいのある緑色の列車。青色や赤色もある。
車内もレトロな雰囲気のデザインで統一されている。
終点の若桜駅。
落ち着いた雰囲気の待合室。

趣深い若桜町の街並み

若桜駅の周辺には歴史的な街並みが残っている。こげ茶色の木造の家屋の前を水路が走り、水音が心地よい。若桜町は、平安時代に作成された「和名類聚抄わみょうるいじゅしょう」に「若桜郷」と記載されたのが最初と言われ、長い歴史がある。現在の街並みは明治18年の大火の後、住民主導で「八東郡若桜宿 宿内議決書」をもとに整備されたもので、日本初の住民主導による都市計画によるものだ。当時整備された水路と蔵が現在も残り、独特の景観を作り出している。国の重要伝統的建造物保存地区にも認定されている。

家の前を水路が走る。街には日本茶専門の喫茶店や昔ながらのおもちゃ屋など、個性の光る店がある。
石畳が続く蔵通り。

鳥取といえば砂丘が有名だが、若桜町のように個性が光る町もあり、ローカル線にふらっと乗ってみるのもいいかもしれない。