海底の微生物の生息実態とその温度限界を解明 海洋研究開発機構など

南鳥島沖の深海で自律型無人探査機による資源探査に成功 JAMSTEC

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は6日、南鳥島沖の水深5500mの海域で自律型無人探査機(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)による資源探査に成功したと発表した。海底下のレアアースの詳細な空間分析を把握することによって、資源量評価の精度向上のみならず、レアアース採鉱における安全性や作業効率の向上にも期待ができる。

海底下には、資源として有用な希少金属レアアースを高濃度で含むレアアース泥が存在していることがある。日本の最東端である南鳥島周辺の排他的経済水域の海底下にレアアース泥が存在していることが明らかになっているが、産業規模での採鉱を可能とするためには海底下の精緻な地質構造の把握が不可欠であり、そのための高度な探査手法が必要とされている。

日本周辺の海底資源の分布

船舶を用いた海底調査を補完する技術として、AUVを用いた高解像度の海底地形調査技術の開発が世界で行われている。AUVは人が直接行くことのできない海中を探査するための海中ロボットの一種で、自律的に動作するもの。ケーブルを介して人が操縦する遠隔操縦ロボット(ROV: Remotely Operated Vehicle)と比べて行動範囲の制限がない。そのため、海面の風浪やうねり、海流などの影響を受けずに安定した観測ができ、ROVに比べて必要な支援設備が少なく運用コストが小さいという利点がある。しかし、日本国内のAUVの実績は今まで最大潜航深度が3500mで、南鳥島沖の深度には対応できていなかった。

JAMSTECは7月25日から8月11日にかけて、海底広域研究船「かいめい」による南鳥島周辺海域でのレアアース泥調査航海を実施した。今回の調査では、AUVは水深5600mの海底面から20mの高度において安定した潜航調査を行い、各種の観測センサーで取得したデータを母船に持ち帰ってくることに成功した。こうして収集されたデータは、これまでの船上からの観測例と比べて数十倍の解像度を有しており、精細な地層構造や複雑な音響基盤地形・断層構造を把握することができた。

AUVによる深海鉱物資源探査手法を確立させることにより、今後の南鳥島周辺海域におけるレアアース泥の分布・資源量の精査が飛躍的に加速されることが期待できる。また、この調査技術はレアアース泥に限らず、ほかの深海資源探査などへの応用可能性も高いとしている。

南鳥島周辺海域に投入され、調査を行うAUV

画像提供:JAMSTEC(冒頭の写真はイメージ)