
消費者が感じる代替肉バーガーの魅力は「満腹感」 明大が実証
明治大学は8日、消費者は環境配慮より満腹感という利己的理由の方が代替肉バーガーを選びやすいという実証結果を発表した。環境に配慮した商品の販売促進への活用が期待される。この研究成果は日本マーケティング学会の論文誌に掲載された。
深刻化する環境問題に対する取り組みの一つとして、近年エシカル商品の開発に注力する企業が増えている。エシカル商品とは、「倫理的(ethical)な観点で環境・社会・動物福祉などに配慮して作られた商品」のこと。だが、調査によると、消費者はエシカル商品に肯定的な態度を示す一方で、実際には自らの利益を損なう商品を好まないという実態がある。そのために環境への関心が高まる一方で、エシカル商品の経済成長が伴わないという課題があった。
近年代替肉の研究が盛んに進められているのも、環境対策としての理由が大きい。家畜のげっぷから排出されるメタンの総量は、世界中の温室効果ガス総排出量の約5%と言われており、代替肉へのシフトにより温室効果ガスの削減が期待できる。
代替肉は味と食感が加工肉と似ていることからハンバーガーとしての商品開発がなされているが、低カロリー・低脂肪という特徴が訴求されている。しかし、健康的な価値の訴求だけでは十分な販売は難しく、他の側面からの訴求が求められている。
研究グループは、日本における代替肉市場を対象に、新しいコンセプトを開発・実証した。消費者に訴えるためには、社会的意義ではなく、消費者の視点での価値を明確化し、価格に見合った最大の利益を得たいという欲求にこたえる価値設計が重要だと考えた。そこで「代替肉ハンバーガーは低カロリー・低脂肪のため、量を多く食べられるという満腹感を訴求する利己的動機の商品コンセプトは魅力を高める」という仮説を導出した。この仮説をランダム化比較試験(RTC)で1000人を対象に検証したところ、商品への魅力を感じた割合として、「環境に配慮している」や「動物福祉」といった利他的動機が24.5%、「健康志向」や「満腹感が得られる」といった利己的動機が31.5%となった。商品コンセプト別の比較では、満腹感で最も魅力が高かった。これにより利己的動機の方が魅力が高くなるという仮説が支持された。
この研究結果により、エシカル消費の促進には、利己的動機を軸としたコンセプトが有効であることが示された。


画像提供:明治大学(冒頭の写真はイメージ)

