NASAがアルテミスIII準備を本格化 月へ戻る道筋を修正

米航空宇宙局(NASA)が進める月探査計画「アルテミス」が、新たな段階へ入った。アルテミス計画は、1972年のアポロ17号以来となる有人月探査の本格再開と、その先の火星有人探査を視野に入れた国際プロジェクトだ。NASAは20日(米東部時間)、次回ミッション「アルテミスIII」で使用する大型ロケットSLSのコアステージを、ルイジアナ州の製造施設から搬出した。今月実施された「アルテミスII」を受け、次の飛行へ向けた準備が本格化した形だ。

アルテミスIIは4月1日に打ち上げられ、4人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船オリオンが月周辺を飛行し、10日に地球へ帰還した。人類が地球低軌道を超えて月へ向かったのは、アポロ計画以来およそ半世紀ぶりとなる。NASAの初期評価によれば、オリオンの生命維持装置や航法システム、再突入時の耐熱シールドはいずれも想定通り機能し、深宇宙での有人飛行能力を実証した。アルテミスIIは、次の段階へ進むための重要な試験飛行として位置づけられている。

当初、アルテミスIIIは半世紀ぶりの有人月面着陸ミッションと位置づけられていた。だがNASAは2月27日、アイザックマン長官がケネディ宇宙センターで計画修正を公表した。アルテミスIIIでは地球低軌道上で宇宙船同士のランデブー(接近)やドッキング(結合)などを行い、将来の月面探査に必要な技術実証を担う。背景には、月着陸船や新型宇宙服など関連システムの開発遅れに加え、複数機体を組み合わせる運用試験の必要性がある。NASAはアルテミスIIIを2027年に予定しており、その成果を踏まえて2028年のアルテミスIVで月面着陸を目指す。

アポロ計画が「月へ到達する時代」を切り開いたとすれば、アルテミス計画は「月で活動し、滞在する時代」を目指す挑戦と言える。NASAは月周回拠点「ゲートウェイ」の建設や継続的な有人滞在体制も視野に入れており、その先には火星探査という長期目標がある。日本もJAXAを通じて計画に参加しており、将来の日本人宇宙飛行士の月面活動への期待も高まる。アルテミス計画は曲折を経ながらも、人類の活動領域を再び地球の外へ広げる現実的な一歩となりつつある。