鉄イオンと光で水素生成 貴金属不要の新手法

九州大学と大阪大学は20日、鉄イオンと光だけを使ってアルコールから水素を取り出す新しい技術を開発したと発表した。高価な貴金属や複雑な装置を使わないシンプルな方法で、環境負荷の低い水素製造への応用が期待できる。この研究成果は国際学術誌に掲載された。

水素は燃やしてもCO2を出さないクリーンなエネルギーとして注目されている。しかし、現在流通している水素の95%は天然ガスや石炭といった化石燃料を原料に製造され、大量のCO2が発生するため環境への負荷が大きい。そのため、再生可能な資源から効率よく水素を作る技術の開発が求められている。

研究グループは、地球上に豊富で安価な鉄のイオンに着目。アルコールと混ぜて光を当てるだけで水素が発生する現象を発見した。これまで見過ごされてきた「金属イオンそのもの」の働きを活用した点が特徴で、従来の常識を覆す成果だという。

この方法は、バイオエタノールや木材由来のセルロース、でんぷんなど幅広い原料に応用できる。廃棄物やバイオマスから水素を作る技術につながれば、資源の有効活用と温室効果ガス削減の両立が期待できる。

反応のメカニズムの詳しい解明は今後の課題だが、反応が単純なためコスト面や実用化のハードルが低いとみられる。研究チームは「発想の転換から生まれた成果」としており、カーボンニュートラル社会の実現に向けた新たな選択肢になる可能性があるとしている。

水素発生実験の様子

画像提供:九州大学(冒頭の写真はイメージ)