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殉教者の栄光あらわす、日本二十六聖人記念館 長崎西坂

殉教者の栄光あらわす、日本二十六聖人記念館 長崎西坂

梅雨の長崎、豊臣秀吉政権下で殉教した26人のカトリック信者を顕彰して建てられた「日本二十六聖人記念館」を訪れた。

秀吉は1587年にキリシタン禁教令を発布したものの、ヨーロッパとの貿易の実利を軽視できず、大規模な迫害は行わなかった。しかし1596年、「サン=フェリペ号事件」が起こると、状況は一変する。土佐に漂着したスペイン船の乗組員が、宣教師は布教事業と征服事業を進めている旨の発言をしたことにより、キリシタンへの迫害がエスカレートしたとされる。秀吉は、京都に住むキリスト教徒を捕縛して処刑するよう命じ、1597年、26人がこの長崎の西坂で処刑された。日本でキリスト教の信仰を理由に最高権力者の指令による処刑が行われたのは、これが初めてだった。後の1862年、殉教者たちはローマ教皇によって聖人の列に加えられ、1962年には列聖100年を記念して、記念館と記念碑「昇天のいのり」が建てられた。

記念館では、ザビエル来航から明治時代までのキリスト教の歴史やキリシタン文化を紹介する展示が多数あり、ザビエルの書簡や、江戸初期の殉教者中浦ジュリアンの手紙など、貴重な史料が集められている。殉教者の美徳を称える「栄光の間」は、ひときわ敬虔な雰囲気だ。マリア観音に囲まれた祭壇に遺骨が保管され、殉教者たちの生贄が天井の十字架を通して天につながっている様子をあらわしている。あらちこちらにかたどられた梅の花は、2月に殉教した彼らの心の清さの象徴だという。

祭壇の正面上部には、大きく「神は愛なり」と掲げられている。どんな苦難や困難があっても神の愛に応えようと殉教していった信徒たち。現代の私たちの中にも、自分の大切なもののために命を尽くす志があるのか、考えさせられる。

殉教者の栄光あらわす、日本二十六聖人記念館 長崎西坂

【施設情報】
日本二十六聖人記念館
長崎県長崎市西坂町7-8
TEL:095-822-6000
営業時間:9:00~17:00

 
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