数千℃の高温に耐える航空機・ロケット用材料を開発 理科大

東京理科大学は17日、数千℃の高温に耐える炭素繊維強化超高温セラミックス複合材料の開発に成功したと発表した。スペースシャトルやロケット材料など、過酷な環境への耐性が求められる航空・宇宙分野での活用が期待できる。

マッハ5(時速約6200km)以上の極超音速で飛行する航空機の機体は、空力加熱の影響により数千℃に達する。炭素繊維強化炭素複合材料は軽量で耐熱性のある材料として、スペースシャトルや極超音速機の部材に使用されてきたが、高温での耐酸化性が低いという問題があった。また、超高温セラミックスと炭化ケイ素の複合材料が1700℃以上の高温でも優れた耐熱性を示すことが知られていたが、2000℃以上の超高温環境では材料のケイ素を含む化合物が著しく劣化してしまうことが課題だった。

東京理科大学の研究グループは、超高温環境下でも劣化しないケイ素を含まない新規材料として、ジルコニウム(Zr)とチタン(Ti)合金をベースとした炭素繊維強化超高温セラミックス複合材料(C/UHTCMC)に着目した。今回は異なる合金組成で製造した3種類の材料に対してその特性評価を行った。その結果、Zrを多く含む材料が最も良い熱防御性を示すことを見出した。また、材料表面に形成されたTiとZrの酸化物が複合材料の酸化を抑制できることも発見した。

この研究の成果をさらに発展させることで、航空機やロケットなどの超高温下でも使用可能な耐熱材料としての展開が期待できるとしている。

大気圏突入時の環境を再現するアーク風洞試験の様子

画像提供:東京理科大学(冒頭の画像はイメージ)