廃棄物のもみ殻などから高性能次世代電池用触媒を開発 東北大など

東北大学、秋田大学、北海道大学は3日、農業廃棄物のもみ殻と鉱山副産物のパイライトから高耐久な次世代電池用触媒を開発したと発表した。廃棄物を活用して高性能と長寿命を両立できるため、再生可能エネルギーの貯蔵や白金など希少な非鉄金属であるレアメタル依存の低減に貢献できる。この研究成果は国際学術誌に掲載された。

もみ殻は世界で年間約1億トン以上が発生するが、分解されにくく用途が限られるために多くが焼却処分されてきた。また、銅の採掘時に副産物として取れるパイライト(黄鉄鉱:FeS2)は活用が難しく、放置されて環境汚染の原因になることもあった。

東北大学などの研究グループは、この未利用資源に着目し、エレクトロニクス素材として活用することを検討した。パイライトからの鉄イオンを含む水溶液にもみ殻を一晩浸し、その後に水とともに高温高圧の状態で炭化(水熱炭化)させたところ、酸素還元反応触媒に近い構造が得られた。

さらに窒素雰囲気下で尿素を添加しながら炭化することで、鉄と窒素から成る反応性の高い構造が形成された。こうして得られた触媒は、酸性・中性・アルカリ性のすべての条件下で白金触媒に匹敵する起電力を示した。また、酸性条件下における14時間の連続運転試験では、白金触媒を上回る電流保持率を記録し、優れた耐久性が確認された。

この触媒の利点は廃棄物を利用して安価な原料と簡便な工程で製造できるところだ。この材料を用いた電極は空気電池だけではなく、燃料電池、微生物燃料電池などさまざまな次世代エネルギーデバイスへの応用が可能である。

今後同グループは、将来的な量産・実用化に向けての研究を進め、産業利用に適した製造基盤の確立を目指すとしている。

参考記事

廃棄物のカニ殻からエレクトロニクス素材を生成 東北大など (2024.04.01)
業廃棄物から電池用触媒を合成し次世代エネルギー材料に(2022.01.24)

画像提供:東北大学(冒頭の写真はイメージ)