
妊婦向けRSウイルスワクチンが4月より定期接種化 接種率向上の後押しに
2026年4月から、妊婦を対象としたRS(呼吸器合胞体)ウイルスワクチンが定期接種となる。現在は任意接種として自己負担で行われているが、公費による無料接種へと移行する予定だ。一方、国立成育医療研究センターが公表したアンケート調査では、妊婦向けRSウイルスワクチンの接種率は11.6%にとどまっていることが明らかになった。一方調査では、接種が進まない理由として「ワクチンの認知度が低いこと」や「費用が高いこと」が課題として挙げられている。実際、未接種の妊婦の約8割が「無料であれば接種したい」と回答しており、定期接種化による接種率向上が期待されている。
乳幼児の重症化への予防策、妊婦向けRSウイルスワクチン
RSウイルスは主に呼吸器に感染し、乳幼児では細気管支炎や肺炎を引き起こすことがある。特に生後6か月未満の乳児では重症化しやすく、呼吸困難や入院が必要となるケースも少なくない。日本では 2歳未満の乳幼児の約12万~14万人が感染し、そのうち約4分の1が入院する と推定されるほど乳幼児への影響が大きい。
妊婦が妊娠後期(28~36週)にRSウイルスワクチンを接種すると、母体で作られた抗体が胎盤を通じて胎児に移行する。これにより、免疫機能が未熟な出生直後の赤ちゃんを守る「母子免疫」が成立し、生後早期の重症化や入院リスクを下げる効果が期待される。
国際共同第3相試験「MATISSE試験」では、RSウイルスによる下気道感染症の発症予防効果が、生後3か月以内で57.1%、重症例では81.8%と報告された。生後6か月以内でも、発症予防51.3%、重症予防69.4%と、一定の予防効果が確認されている。(出典:The New England Journal of Medicine https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37018474/)
ワクチンの安全性評価、費用負担と情報不足が接種拡大の壁
国内で使用される妊婦向けRSウイルスワクチンは、ファイザー社の「アブリスボ筋注用」だ。厚生労働省が公表した資料では、国内外の臨床試験や市販後データを踏まえ、現時点で重大な安全性上の懸念は認められていないとされている。また、米国のWeill Cornell Medicineなどによる研究では、妊娠後期にワクチンを接種した妊婦と非接種群を比較しても、早産率に有意な差は見られなかった。実臨床データからも、妊娠経過への影響は限定的と報告されている。
これまで費用負担の大きさや情報不足が接種拡大の壁となってきたが、2026年4月からの定期接種化により、妊婦がより選択しやすい環境が整うだろう。乳児の重症化を防ぐ予防策として、今後は正確な情報提供と周知が重要になりそうだ。
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