
飲酒が充足感をもたらす仕組みが明らかに マウスで減酒に成功
今年の目標に減酒・禁酒を挙げた方もおられるだろうか。近年の研究では「健康に良い飲酒量はゼロ」という研究結果が複数報告されており、健康のためには過剰な飲酒を控え、減酒・禁酒に取り組む必要があることは間違いなさそうだ。一方、日本では、約1,400万人が健康を害する量のお酒を飲んでいるとされる。また、約107万人がアルコール依存症であると推定されており、分かっていてもやめられないという人も少なくない。しかし、飲み過ぎを引き起こす脳の仕組みは未解明で、効果的な対策が不足しているのが現状だ。
京都大学らの研究グループは、飲酒後に得られる「充足感」を生み出す仕組みに着目し、健常マウスとアルコール依存症状態のマウスで飲酒時の脳内の反応と飲酒の回数を比較した。今回の研究で、飲酒による充足感は、肝臓から分泌されるFGF21というホルモンとそれに反応する脳の作用によって起きていることが明らかになった。そして、アルコール依存症のマウスでは飲酒時の脳内の反応が鈍くなり、充足感が生じにくくなることで酒量が増えることが分かった。研究グループは、この充足感が持続すれば飲酒量が減るという仮説を立てて、FGF21誘導剤を用いてこの作用を刺激すると、アルコール依存症マウスだけでなく健常マウスでも飲酒量が減るという結果が得られた。
研究グループが特定したFGF21誘導剤はアルロースという希少糖の1つで、イチジクやレーズンなどの食品に微量に含まれるという。依存症を専門とする精神科医の垣渕洋一氏は、「お酒の害に苦しんでいる人が多いなか、このような基礎研究はとても重要だ」と述べ、当事者にとって新たな治療の選択肢が増えることへの期待を示した。
研究グループは、今後、人に対しての有効性が認められれば、減酒・禁酒に効果のあるサプリメントなどの開発に繋げていきたいとしている。
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