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太平洋島嶼国と中国 深まる関係の行方

中国と太平洋の島国との関係が、ここ数年で注目を集めている。太平洋島嶼国は人口や国土こそ小さいものの、広大な海域や豊富な資源を有し、海上交通の要所に位置するなど地理的な重要性を持つ。こうした国々に対し、中国が外交や経済など多方面で関係強化を図る動きがメディアで伝えられている。

象徴的な出来事として、2月に中国がフィジーの大統領に高級公用車を寄贈したことが報じられた。寄贈されたのは、国家元首が公式行事で使う「リムジン」だという。

環境分野でも動きがある。南太平洋の主要な環境機関である太平洋地域環境計画(SPREP)は1月、「正式な脱退完了までは米国は依然として加盟国である」と強調した。同機関は環境保護や気候変動対策に取り組んでおり、主要な拠出国にはオーストラリアや英国、ニュージーランド、フランス、アメリカが名を連ねる。中国も年間約20万ドルを拠出している。米国の脱退が進めば、同機関をめぐる国際的な影響力のバランスが変化する可能性がある。

経済面でも中国との協力が進む。2025年12月には、中国の習近平国家主席がトンガとの会談で、経済支援や投資に意欲を示したと報じられた。これにより、両国間の経済協力が強化される可能性がある。さらに2025年2月には、クック諸島政府が中国との包括的戦略的パートナーシップ協定の内容を公開した。協定には、海底鉱物採掘を含む資源開発や経済、外交関係の拡大など幅広い分野での協力が盛り込まれている。これに対し、ニュージーランドは同年6月、事前協議がなかったとしてクック諸島向けの援助の一部を停止したと報じられている。

一方で、太平洋地域内部には安全保障への懸念もある。2025年7月にはフィジーの首相が、太平洋における中国の軍事基地設置を「歓迎しない」と発言した。各国は自国の主権と安定を最優先にしながら、外交的・経済的利益とのバランスを慎重に見極めようとしている。

このように、太平洋地域では中国との関係強化が進む一方、米国や近隣諸国との関係や安全保障上の課題も複雑に絡み合っている。各国は多層的な利害の間で、バランスを取りながら外交を展開している。

(写真はイメージ)