
営農型太陽光発電、コメ収量は「光の営農型太陽光発電、コメ収量は「光の当たり方」が鍵
山形大学と名古屋市立大学は7日、農地の上に太陽光パネルを設置し、農業と発電を同時に行う「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」について、水田でのコメの収量や品質が、単なる「遮光率」ではなく実際の光の当たり方によって大きく左右されることを明らかにしたと発表した。再生可能エネルギーの導入拡大と食料生産をどう両立するかが課題となる中、設備設計の新たな指標になることが期待できる。この研究成果は国際学術誌に掲載された。
再生可能エネルギーの導入拡大と食料生産の維持を両立する方法として、営農型太陽光発電への関心が高まっている。営農型太陽光発電の導入にあたっては、水稲においては周辺地域の標準収量の80%以上を維持することが制度上求められている。しかし、従来は太陽光パネルの面積比から求める遮光率が重視される一方で、収量に対する影響が十分にわかっていなかった。
研究グループは、山形県の酒田市、東根市、米沢市にある実際の営農型太陽光発電の水田を対象に、2022年から2024年まで3年間の比較調査を行った。パネルの配置が異なる3種類の設備について、30秒ごとに光の強さを測定し、収量や品質、売電を含めた収益も分析した。
その結果、同じ程度の遮光率でも、パネル配置によってコメが受ける光の総量や変動の仕方が異なり、収量低下の程度も変わることが分かった。特に、短時間で「明るい」「暗い」が頻繁に切り替わる環境では、収量への悪影響が大きかった。
また、営農型太陽光発電区の収量は、通常の水田に比べて3年平均で20~34%減少しており、主な原因は稲の穂数の減少であることが分かった。一方、分析から制度上の目安である「通常の8割以上の収量」を維持するには、通常の水田に対して76.5%以上の光量を確保する必要があると推定した。
品質面では、タンパク質含有量の増加や食味値の低下も確認された。ただ、発電による売電収入が農作物収入の減少を一定程度補う可能性も示された。土地利用効率を示す指標では、農業と発電を組み合わせた方が効率的との結果も得られた。 研究グループは、これまで重視されてきた遮光率だけでなく、「光がどう変化するか」を考慮した設計が重要だとしている。また、今回の研究で、日照条件が厳しい東北地方でも、設備を工夫すれば導入の可能性があることを示した点も意義があるとのこと。

写真提供:山形大学(冒頭の写真はイメージ)

