適度な運動強度を分子レベルで解明、運動模倣薬候補も発見 神戸大

神戸大学は30日、「適度な運動」とされる運動強度を分子レベルで科学的に定義することに成功したと発表した。さらに、運動による体の変化を一部再現できる「運動模倣薬」の候補も見つかり、運動が難しい人への新たな治療法につながる可能性がある。研究成果は国際学術誌に掲載された。

健康維持のために適度な運動が重要とされる一方、その具体的な強さや体内で何が起きているかは、これまで十分に分かっていなかった。運動が弱すぎれば効果は得られず、強すぎると逆に体に負担をかけるため、適切な強度の見極めが課題となっていた。特に世界に先駆けて超高齢社会を迎えた日本において、健康寿命を伸ばすことは重要だ。

研究チームはマウスを使い、さまざまな強さの運動を行わせて筋肉の変化を詳しく分析した。その結果、健康効果を最大限に引き出しつつ体への負担を抑える「最適な運動強度」を特定した。さらに、遺伝子やタンパク質などの変化を総合的に調べたところ、代謝や体内時計に関わる仕組みが運動の効果の中心であることが分かった。

加えて、こうした運動時の変化と似た働きを引き起こす物質も探索した。その結果、野菜に含まれるポリフェノールの一種「アピゲニン」や、既存の高血圧治療薬「ドキサゾシン」が候補として浮上。実験では、持久力や筋力の向上、骨量の維持など、運動に似た効果が一部確認された。

ただし、研究は動物実験の段階で、人間でも同じ効果が得られるかは今後の検証が必要だ。運動を完全に置き換えるものではないが、加齢や病気で運動が難しい人にとって、新たな選択肢となる可能性がある。

研究チームは、今回の成果が個人に合わせた運動指導や医療への応用につながると期待している。

画像提供:神戸大学(冒頭の写真はイメージ)