
風力発電の急変動リスク予測 OISTが新モデル開発
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は5月29日、風力発電の出力が急激に変動するリスクを予測する新たな統計モデルを開発したと発表した。風力発電所の設置計画や送電網の運用に活用できる可能性があり、再生可能エネルギーの大規模導入を支える技術として期待される。この研究成果は国際学術誌に発表された。
風力発電は、2050年までにCO2の排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを実現するために期待されている技術の一つである。その一方で、風の強さや向きの変化によって発電量が大きく変わるという課題がある。特に強い突風や大気の乱れによって発電量が急増すると、送電網全体のバランスが崩れ、電力供給の安定性に影響を与える恐れがある。風力発電設備の大型化や導入拡大が進むにつれ、こうしたリスクへの対策が課題となっている。
OISTの研究チームは、米国に設置された80基の風力タービンから得られた発電量と気象データを解析した。対象となった風力発電所は約20kmにわたって広がっており、10分ごとに5年以上記録された膨大なデータを活用した。
分析の結果、風力発電所は個々のタービンが独立して動いているのではなく、大気中の乱流の影響を受けながら一つの大きなシステムのように振る舞うことが分かった。大規模な出力変動は乱流と強く関係しており、その影響は発電所全体だけでなく周辺の発電所や送電網にも広がるという。
研究チームは、こうした特徴を取り入れた統計モデルを構築した。これにより、既存の風力発電所だけでなく、将来建設される発電所についても、出力変動のリスクを事前に評価できるようになる。新しい発電設備を送電網へ接続する際の影響予測にも役立つという。
また、出力変動を抑えるためには、風力タービンを一カ所に集中させるのではなく、広い地域に分散して配置することが有効であることも示された。さらに、太陽光発電など異なる種類の再生可能エネルギーを組み合わせることで、電力供給を安定化できる可能性があるという。
再生可能エネルギーは今後も導入拡大が見込まれている。研究チームは、発電量の変動を正確に予測し管理する技術が、脱炭素社会の実現に向けた重要な基盤になるとしている。
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