巨大地震時の断層乱流痕跡を発見、津波規模の予測向上へ 大阪公立大

大阪公立大学は6日、房総半島の約1500万年前の地層から、地震の発生時に断層内部の物質が激しく渦を巻くように流れた痕跡を発見したと発表した。摩擦熱による水圧上昇(サーマルプレッシャライゼーション)が原因の乱流痕跡の確認は世界初。巨大地震時のプレート沈み込み境界での断層の滑りやすさの評価や、それに伴う津波規模の推定に貢献することが期待される。この研究成果は国際学術誌に掲載された。

痕跡が見つかったのは、千葉県鴨川市付近に分布する地層内の断層。採取した試料を偏光顕微鏡や電子顕微鏡で詳しく調べたところ、断層内部に渦状の構造が確認された。これは、地震時に断層粘土が水のようにサラサラと流れ、乱流と呼ばれる激しい動きをした証拠である。

流体力学に基づく計算から、当時の断層物質の粘性は、常温の水と同程度まで極端に下がっていたと推定された。原因は「サーマルプレッシャライゼーション」と呼ばれる現象だ。断層が激しく滑ることで摩擦熱が発生し、断層内部の水の圧力が上がって摩擦力が急激に弱まる。その結果、断層が非常に滑りやすくなり、大規模な滑りを引き起こしたと考えられる。

2011年の東日本大震災では、海溝近くのプレート境界断層が大きく滑り、巨大津波を引き起こした。しかし、なぜ断層がそんなに大きく滑るのか、その仕組みを直接示す痕跡はこれまで見つかっていなかった。今回の発見は、その実体を初めて明らかにした点で意義が大きい。 この成果は、将来起こりうる南海トラフ巨大地震などで、断層がどれだけ滑りやすいかを評価し、津波の規模を予測する手がかりになる。プレート境界や陸上の活断層にも同じ方法を応用すれば、防災対策に役立つと期待される。

(上)房総半島の岩相図 (下)地震時の断層内で発生した「乱流」の痕跡

画像提供:大阪公立大(冒頭の写真はイメージ)