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【特集】電力自由化をもっと身近に! ~part2. 自然エネルギー活用の時代 消費者の新しい選択肢

前回、『part1.電力自由化に流されないために』で書いたように、日本も特に東日本大震災以降に大動脈型の送電から小規模分散で災害に強い送電を目指す方向へと、電力自由化政策が進んできました。私たちは、多くの電力供給事業社から、自分にとって最適な会社を、実際どのように選んでいけばよいのでしょうか。

東日本大震災以降、自然エネルギーへの関心は高まっていますが、このたびの電力自由化でも再び注目されています。そこで、今回は自然エネルギーを電源に持つ事業社を選択することについて取り上げてみます。

 

「自然エネルギー」って何だろう?

まず、「自然エネルギー」とは何でしょうか?古来より、日本でも使われてきた、太陽、川、風、地熱、木材、家畜の糞といった、生活に身近なものを使ったエネルギーのことをさして「自然エネルギー」と呼んでいます。天日で魚や野菜を干し、水車で粉を挽き、薪で暖を取るなど、これらすべては自然エネルギーを活用してきたことになります。これらのエネルギーは人類の生活の一部であり、人類は自然エネルギーと共に生き、人間に与えられた“豊かさ”を肌で感じてきました。

その中から「電気」を取り出して使い始めたのは20世紀以降です。近年のエネルギーは、便利さという名のもとに、万能で大量で安定と考えられる「化石燃料」や「原子力」などに頼るようになりました。しかし、地球規模での環境問題が深刻化し、自然災害が増加しました。そのような状況変化の中、「科学技術の進歩により、新たな形で、もう一度、身近な自然エネルギーを使っていこう」という動きが進んできました。

自然エネルギーを使った発電は、電源の分散による「災害に強い送電」を実現し、使用場所から近い所で電気を作る結果、送電のロスも減り、燃料を輸入に頼る必要がなくなるといわれます。

 

「自然エネルギー由来の電気を使ってみたい」と思ったら?

では、皆さんが実際に自然エネルギーを電源に持つ事業社(仮にA社とします)を選ぶとどうなるのでしょうか。

まず現在お使いの電力会社の契約を止め、A社と新たな契約を結びます。A社はご家庭のメーターを新たに、「スマートメーター」という、自動的に検針値をA社に飛ばしてくれるメーターへと交換します。現時点では各社この費用等は自社への契約乗り換えの特典として補填している状況なので、実質負担はありません。そして、A社は契約に従い新たな料金プランの下で自然エネルギーから調達した電気を供給し、利用者は使った分をA社に支払うという流れです。

自然エネルギー由来の電力を扱う事業者との契約自体は難しくないことが分かるでしょう。

次に気になるのは、やはり「安定性」です。この点については、自然エネルギーだからといって、急に停電が多くなるといったことはないため、特別に不安を感じることはないとされています。実際に利用者が使う電気は、A社をはじめ全ての電力会社に、需要と供給のバランスを取るための責務を課されているため、万が一の場合は電力会社が罰則を受けることになっているためです。また、物理的には送電線上にある電気が使われるため、送電線自体が突然断線するなどの事故以外には、基本的に通電状態が維持されているからです。

では、実際に契約して使ってみたところ、A社のサービスに満足できない、またはこのA社が倒産した場合など、電力会社を変える必要が出てきた際にはどうしたらいいでしょうか? この場合は、再び多数ある電力会社から自分の満足に足る会社を探し、新たに1社を選択して、契約を切り替えることになります。

この際も、従来の会社からA社に切り替えたように簡単に会社を選べばいい……と考えたいところですが、ここで、日本の消費者は「電力自由化」のよい点と難しい点を、体験する事態になるわけです。

「消費者の選択で、日本が使っていく電気が変えられる仕組み」、それが本来の「自由化」のはずですが、現状、日本ではちょっと違う様相となっています。

この日本ならではの諸事情については、次の記事で詳しく書こうと思います。

 
(写真はイメージ)

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