シジミチョウの幼虫、「蜜」でアリを操る

琉球大学の辻瑞樹教授は7月29日、これまで互いに利益を与え合う「相利共生」と考えられていたシジミチョウの幼虫とアリの関係が、シジミチョウの「利己的な行動操作」であることを明らかにした。米国オンライン科学雑誌『カレント・バイオロジー』で掲載された。

シジミチョウの幼虫は「蜜」を分泌し、蜜を求めて集まったアリによって幼虫は天敵であるハチなどから身を守っている。しかし、この関係が互いにもたらす利益の価値は釣り合っていない。幼虫が蜜を出さなければアリは別の餌を探しに行くことができる。一方、アリが随伴をやめてしまえば、幼虫は天敵に捕食されてしまうなど死に直結する。似たケースでアブラムシも蜜を出してアリと共生しているが、アリの事情によってはアブラムシを食べてしまうことが知られている。シジミチョウの幼虫が、アリの裏切りを防ぐための特別なメカニズムを持っているのではと考えた。

詳細に調べてみると、幼虫の蜜を摂取したアリは、摂取していないアリに比べて歩行活動性が減少し、巣にも帰らず幼虫の元に長く留まること、より攻撃性が強まることがわかった。アリの脳内の神経伝達物質を測定したところ、行動を調整することで知られるドーパミンの量が減っていた。つまり、シジミチョウの幼虫の「蜜」は、報酬としての栄養というだけでなく、アリの脳内のドーパミン量に働きかける「薬物」として用いられていたのだ。

シジミチョウの幼虫、「蜜」でアリを操る

画像提供:琉球大学公式ホームページ