
フクロウの翼を模倣してドローン用低騒音プロペラを開発 千葉大など
千葉大学は5月28日、三井化学と共同でフクロウの翼を模倣したドローンのプロペラを開発し、騒音低減効果を実証したと発表した。都市部における航空物流や交通分野での応用が期待できる。この研究成果は流体力学の国際専門誌に掲載された。
ドローンは小型の無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)の一種で、様々な分野で普及が進んでいるが、人口が密集する都会での活用において、プロペラから発生する大音量の騒音が問題となっていた。
研究グループは、生物のもつ優れた形態や構造、機能やシステムなどを模倣して技術に取り入れるバイオミメティックスとして、フクロウに着目した。フクロウは自然界の生物の中で極めて静かに飛ぶことで知られている。フクロウの翼の羽根の前縁にある鋸歯状の突起が渦状の空気の流れを分断し、騒音のもとになる不安定な気流を抑制して騒音を低減する。これによってフクロウは獲物に気づかれることなく近づくことができる。
研究グループは、UAVのプロペラモデルにフクロウ翼を模した鋸歯形状を付与して解析を進め、回転時に発生する空力騒音を最大3dB低減することを計算機シミュレーションで実証した。前縁部の鋸歯形状の最適化は、振幅や幅(波長)などの幾何学的パラメータに強く依存するが、幅(w)と振幅(a)が各6mmで間隔(s)が8mmの中程度の鋸歯において、騒音低減と空気力学的効率のバランスが最もよかった。
この研究により、実用性の高い大型の工業用ドローンや空飛ぶ車に応用できる、高性能かつ低騒音なローターの開発が前進した。ドローンの社会受容性を高めるために、静音性、安全性、経済性のさらなる向上を進めていくとしている。


画像提供:千葉大学(冒頭の写真はイメージ)