細石器の秘密に迫る!名大が発見した古代人の道具術

名古屋大学の研究チームが、中東のヨルダン南部にある「Tor Hamar(トル・ハマル)遺跡」で発見された数cmほどの石器「細石器」の壊れ方や接着剤の痕跡を調査し、約2万年前の旧石器時代の人々がこれらを狩りの道具としてどのように使っていたのかを明らかにした。17日付で科学誌『Journal of Paleolithic Archaeology』にオンライン公開された。

細石器は、旧石器時代の終わり頃に世界中で使われていた小さな石の道具だ。中東のレヴァント地方(地中海や紅海に比較的近い地域)では、湿った地中海沿岸と乾燥した内陸部で異なる形の細石器が見つかっている。これまで、湿った地域の細石器の使い方は研究されてきたが、乾燥地帯のものについてはあまりわかっていなかった。

今回、乾燥地帯であるヨルダン南部の遺跡から出土した約800個の細石器を調べた結果、両端が尖る細石器は、狩猟具として矢尻の先端に斜めに取り付けられたものと考えられた。一方、一端のみ尖る湾曲した背付きのものは、矢尻の側縁に取り付けられ、かえしや側刃として使われたと推測された。さらに、細石器のレプリカを作り、実際に矢に取り付けて射撃実験を行ったところ、遺跡から出土したものと同じような壊れ方が再現された。これにより、細石器の取り付け方や使い方が推測したとおりであったと明らかになった。

今回の研究は、古代の人々が住んでいた環境に応じて狩りの道具を工夫していたことを示している。乾燥した地域では限られた資源を効率よく利用するために、細石器の形や取り付け方を工夫していたと考えられる。このような研究は、私たちの祖先がどのように自然と向き合い、生活していたのかを理解する手がかりとなる。

画像提供:名古屋大学