ジビエとは? 山の恵みを残らずいただく取り組みが進む

ジビエとは? 山の恵みを残らずいただく取り組みが進む

今注目の食材「ジビエ」とは、狩猟によって得たシカやイノシシなどの野生鳥獣の食肉を意味するフランス語だ。ジビエはフランス料理界では古くから高級食材として重宝されてきたが、日本でも食べられる機会が増えてきている。

日本では近年、農地を荒らすシカやイノシシが急増しており、電気柵を畑の周りに張り巡らして農作物を守る対策と並行して、害を及ぼす野生動物の捕獲も行っているという。地元の猟友会に依頼して捕獲されたシカやイノシシは、従来、一部の利用を除いて、そのほとんどが埋葬されていたが、それらを有効活用する取り組みが進められている。

このジビエ活用の取り組みの一例が、政府インターネットテレビで紹介されている。和歌山県古座川町こざがわちょうでは、猟友会によって捕獲されたイノシシやシカを処理するための処理加工施設を設置。捕獲されてから2時間以内の新鮮なうちに処理できるようにしているのだ。獣臭いイメージのあるジビエだが、捕獲後すぐに血抜きして食肉処理を行えば臭みがなくおいしく食べられるという。また、調理方法の検討を進めたところ、モモ肉や背ロースはとれる量が少なくて手軽に食べることができないため、他の部位を集めたミンチ肉の活用を普及させようと、地元のパン屋がジビエバーガーを考案。「里山のジビエバーガー~紀州備長炭の炭火焼きハンバーグ古座川町の清流鹿72%使用~」だ。このジビエバーガーは「とっとりバーガーフェスタ2016」で行われた全国ご当地バーガーグランプリで第1位を獲得した。さらに同町のジビエの取り組みは、政府が行っている「ディスカバー農山漁村むらの宝」の2017年度特別賞ジビエグルメ賞も受賞した。

栄養価が高く脂肪が少ないジビエは、体づくりや栄養管理に配慮している格闘家などからも注目される食材になっている。最近では、一部の飲食店やスーパーでは常時店頭に並べるところも増えてきている。日本でもジビエが食卓で普通に食べられる日は、それほど遠くないかもしれない。

画像提供:農林水産省農村振興局